上田をスタメンで起用するべき理由③
ドイツ相手にどこまで通用するか
ここまで、ドイツ戦で上田綺世をスタメン起用すべき理由を森保一監督の発言、三笘薫との相性が良さから考察してきた。
3つ目の理由に挙げたいのは、「上田がドイツ相手にどこまで通用するか見極める」という点だ。
所属クラブでゴールを量産してきた上田だが、A代表では実績を残しているとは言い難く(15試合に出場して1ゴール)、絶対的な得点源ではない。ドイツ戦でスタメン起用して長時間のプレータイムを与えることで、強豪相手にどこまで通用するかという点を確かめたい。
ここで重要なのは、「長時間のプレータイム」である。上田は短い出場時間で決定的な仕事をするジョーカータイプ(現在の代表では浅野拓磨が該当する)というよりも、90分を通してプレーし、流れの中で生まれたチャンスをモノにする点取り屋(こちらは古橋亨梧も同様)だ。
チャンスがあればあるだけ本領を発揮しやすくなるので、プレータイムは長い方が望ましい。
もっとも、代表は各クラブのレギュラーが集まる場所なので、監督としては色々な選手を試したいと思うはずだ。特にアタッカーはプレー強度の面からも積極的な交代が常ではあるが、上田に関しては最低でも60~70分のプレータイムを与えたい。いずれにしても、短時間の起用は良さを消してしまうため避けるべきだ。
もちろん、仮にドイツ相手に本領を発揮できなかったとしても、そう簡単に代表から遠ざかることはないだろう。非凡な得点感覚はこれまでも示しており、能力の高さは折り紙付きである。
しかし、上田と同じ万能型/大型のFWには、カタールW杯メンバーの町野修斗(ホルシュタイン・キール)、同世代の小川航基(NECナイメーヘン)がいる。両名とも新天地でゴールを叩き出しており、上田に取って代わるかもしれない。
また、Jリーグではヴィッセル神戸の大迫勇也が好調を維持し、第26節終了時点で得点ランク1位の19ゴールをマーク。優勝争いを展開するチームを力強くけん引している。33歳という年齢を考えれば、代表復帰の可能性は高いとは言えないが、そのパフォーマンスは説得力がある。
上田にとって最悪のシナリオは、フェイエノールトで出場機会を得られず、その結果代表から徐々にフェードアウトしていくことだ。
この事態を避けるには、4試合目でリーグ戦初ゴールを決めたエールディビジはもちろん、チャンピオンズリーグ(CL)で結果を出すことが重要となる。欧州最高峰の舞台であるCLで結果を残せれば、クラブでの立ち位置は劇的に変わるだろう。
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W杯ベスト8の実現には、“日本人離れした規格外のストライカー”である上田が欠かせない。まずはドイツ戦で存在感を示し、リーグ戦およびCLでの活躍につなげていきたい。