<3-3-2-2>が解消する<4-4-2>の構造的弱点

続いて、攻撃時に<3-3-2-2>へ変化するメリットと意図を考えてみたい。まずは、「2トップの相手に数的優位を作ることができる」点だ。

今季のJ2は、2トップ(1トップ+トップ下も含む)を採用するチームが多い。4バックでビルドアップする場合、自軍の2CBと相手の2トップが同数になり、CBは常にプレッシャーにさらされる。特に工夫がないと、後方からの組み立てがスムーズにいかない原因になってしまう。

4バックで発生する数的同数を回避するには、以下の工夫が考えられる。

①ゴールキーパーをCB間あるいはCB付近へ動かし、両CBをサポートさせる
②ボランチをCB間あるいはCB付近に落とし、両CBをサポートさせる
③片方のSBをストッパーへスライドさせて3バックを形成する

いずれも「数的優位(3対2)を作る」動きだが、まさに③こそ、ザスパクサツ群馬が取り組んでいる形である。

3バックによる安定したビルドアップは、2トップを軸としたハイプレスが代名詞である町田ゼルビア(第33節/結果は0-0のドロー)にも機能。ボールを握る時間を多く作れたことが、首位チーム相手に互角の戦いを演じた要因となった。

また、攻撃時に右サイドバック(以下SB)からピッチの中央寄り、すなわち右インサイドハーフ(以下IH)へポジションを移す川上エドオジョン智慧は、相手にとって非常に捕まえにくい存在となっている。

最初から右IHの位置にいるよりも、後方からスッと侵入された方がやはり守りにくい。スピードと推進力を武器とする川上なら、対応はより難しくなる。