守備時は<4-4-2>、攻撃時は<3-3-2-2>で戦う
今シーズンのザスパクサツ群馬を語るうえで欠かせないのが、“可変システム”だ。守備時は<4-4-2>、攻撃時は<3-3-2-2>になり、攻守で異なるシステムを用いて戦っている。
まずは、守備時の<4-4-2>から見ていきたい。前項で示した基本システムの<4-4-2>が、そのまま守備ブロックの形となる。
試合展開によっては、2トップのひとりが中盤に吸収され、左サイドハーフが一列下がる<5-4-1>にシフトするが、基本的にはディフェンスラインの4枚と中盤の4枚がフラットに並ぶ「4-4」のブロックで守っていく。
この「4-4」の守備ブロックは、フォワード2人を含むフィールドプレーヤーの10人で均等にピッチをカバーできるため、タテヨコをコンパクトにしたゾーンディフェンスに適している。
群馬の場合、前線からハイプレスを仕掛けるのではなく、自陣にコンパクトなブロックを敷いて、相手にスペースを与えない守り方をメインとする。失点30はリーグ4位の好成績で、守備は非常に堅い。
一方、攻撃時は守備時の<4-4-2>から<3-3-2-2>へと変化する。(下図参照)
左サイドバック(以下SB)の中塩大貴が左ストッパーへ、左センターバック(以下CB)の城和隼颯がリベロへとポジションを移し、右ストッパーへスライドした酒井崇一とともに3バックを形成。この3枚を中心とした丁寧なビルドアップから崩す形が、攻撃の約束事として徹底されている。
中盤は右ボランチの天笠泰輝がアンカー、左ボランチの風間宏希が左インサイドハーフ(以下IH)、右SBの川上エドオジョン智慧(または田頭亮太)が右IHへと移動し、川上(田頭)が風間よりも高い位置を取る“いびつな逆三角形”の構成となる。
ここで注目したいのが、右IHを主に務める川上のポジショニングだ。攻撃時に4バックから3バックへと変化する際は、サイドバックの選手が一列前のウィングバック(以下WB)にポジションを上げるケースが一般的だろう。
しかし、川上はWBではなく、明らかにピッチの中央寄りにポジションを取る。右サイドハーフの佐藤亮は「IH化」する川上の動きに合わせて、タッチライン際に張ることもあれば、中央寄りでボールを持ち、その外側を川上が追い越すパターンもある。
状況に応じて立ち位置を変え、相手守備陣を混乱させる川上と佐藤によるコンビネーションが、崩しの生命線となっているのだ。