夏に行われた女子ワールドカップでの盛り上がりを受け、そして来年に待つパリ五輪に向けて、先日創設から3年目の開幕を迎えたWEリーグ。
ミッドウィークの23日に第3節の開催を控える中、22日にはその理事会とメディアブリーフィングが行われた。
今回、女子サッカーの情報を専門に扱う「WE Love 女子サッカーマガジン」で執筆する石井和裕さんがそこに出席。ブリーフィングにて紹介された「ウーマンズ・リーグス・フォーラム」という世界的な組織の内容についてレポートしていただいた。
世界の女子サッカープロリーグが集結「ウーマンズ・リーグス・フォーラム」がWEリーグに与えるプラスの効果
世界には40以上の男子プロサッカーリーグが存在する。では、女子プロサッカーリーグは、世界にいくつあるのだろう?
11月10日(金)に正式に設立された「ウーマンズ・リーグス・フォーラム(Women’s Leagues Forum)」に参加したリーグをプロリーグと定義するならば、その数は16だ。
WEリーグは、その設立メンバーに参加。8名の初代理事会メンバーに髙田春奈チェアが選出された。
11月22日(水)に行われた WEリーグ理事会後メディアブリーフィングで「ウーマンズ・リーグス・フォーラム」の説明が行われたので、ポイントをご紹介しよう。
まず、この「ウーマンズ・リーグス・フォーラム」は「ワールド・リーグス・フォーラム(World Leagues Forum)」の内部にある組織だということが重要だ。
2017年に設立されたワールド・リーグス・フォーラム(WLF)はプロリーグの世界協会。世界のサッカー界におけるガバナンス構造の改善を支援し、リーグとその加盟クラブを代表してスポーツや政治機関に働きかけ、リーグ間の協力を促進してきた。
そのネットワークとノウハウが、これからは女子プロサッカーリーグにも展開されるのだ。目標は以下の4点となる。
- 女子リーグ同士の協働
- 好事例の共有
- 女子サッカーの商業的価値の向上
- 女子のプロフェッショナルリーグとして、世界の女子サッカーの環境の改善に貢献するために意見をまとめていく
共同議長を務めるのは、NWSL(アメリカ)のジェシカ・バーマン・コミッショナーとOBOSダマルスベンスカン(スウェーデン)のアニカ・グラールス・チェアマン。二人は偉大な実績を誇る女子プロサッカーリーグのリーダーだ。
そして、理事会にはさらに6名の女子プロサッカーリーグ代表が参加している。
- マリアナ・グティエレス/リーガMXフェメニル代表(メキシコ)
- 髙田春菜/WEリーグチェア(日本)
- ベアトリス・アルバレス/リーガF(スペイン)会長
- フィオナ・マッキンタイア/スコットランド女子プレミアリーグ代表(スコットランド)
- ニック・ガルシア/Aリーグコミッショナー(オーストラリア)
- ローリン・パリス/プロリーグCEO(ベルギー)
これまでWEリーグは、イングランドサッカー協会(THE FA)と日本サッカー協会との三者間でパートナーシップ協定を締結する等で、個々に海外リーグとの交流を図ってきた。
しかしこれからは、世界中の女子プロサッカーリーグと「ウーマンズ・リーグス・フォーラム」を通して繋がることになる。 WEリーグ理事会後のメディアブリーフィングでは、組織として取り組んでいく項目の一部が紹介された。
例えば放映権料。NWSLは2024年シーズンからの放映権契約を更新した。テレビ中継2社、ストリーミング配信2社と契約し、その総額は4年間で2億4000万ドル(360億円)。これまでの契約金額の40倍という巨大なものになっている。
アメリカ女子代表はFIFA女子ワールドカップ オーストラリア&ニュージーランド2023ではラウンド16で敗退。しかし、そのような戦績に左右されることなくアメリカの女子サッカー産業が好調だということが背景にある。
各チームの資産価値平均は6600万ドル(およそ100億円)にまで上昇。最高額は2022年シーズンに参入したエンジェル・シティFC(日本代表MF遠藤純が所属)で1億8000万ドル(およそ270億円)となっている。
こうしたリアルタイムに共有される世界の最新情報は、今後のWEリーグの発展に役立っていくことだろう。
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今なお世界最高のリーグとして知られるNWSLをはじめ、16もの国のコンペティションが協力して成長をはかる「ウーマンズ・リーグス・フォーラム」。プレー環境、怪我予防、経済的状況など、まだまだ未発達な部分がある女子サッカーに劇的な改善をもたらすことができるだろうか。