葛藤を乗り越えて参加
今季から喜山は松本に加入するも、15試合中4試合先発と出場機会に苦しんだ。「シンプル(に戦力として)です。だから自分がやりたいという情熱や、やれることを見せる場として挑戦しようと思って来ました。年齢のことはもうしょうがないので、それをポジティブにそのぶん経験はいろいろ積んできたと思う」とシーズンを振り返った。
年齢も35歳となり、キャリアも終盤に入りつつある。それでもサッカーに対する情熱は燃え続けている。
「この1年すごく自問自答していました。同期の選手が結構引退していて、柏木(陽介)、田中順也、太田宏介…。そういう部分でも考えることはあったんですけど、自分はあとなん試合残して引退発表するとかそれは違うなと。まずやりきろうと思った中で、1ヶ月前ぐらいには満了になると聞いていたんですけど…。それでもまだやりたいと、どんどん情熱が出てきたので、ここで挑戦しようと思った」と喜山。
ただこのトライアウト参加には葛藤があった。選手キャリアで初のトライアウトー。ただ選手としては終わっていない、サッカー選手としてプレーがしたい。純粋なサッカーに対する情熱があったからこそ、覚悟を持って臨んだ。
「最初は(葛藤が)もちろんありました。若いときは『トライアウトに参加するときは終わりだ』と思っていた。でもこの年齢になって、今年も試合に出ていたらアレですけど、途中から出られなかった。だったら挑戦しようと思いました。そう決意をしてからはきょうがすごく楽しみで。天気も良かったですし、良いグラウンドでやらせてもらえて、すごく前向きに挑戦できたので本当に参加して良かったです」とやり切った表情を浮かべた。
喜山がトライアウトに参加すると知ったファン、サポーターは応援する声が多くあった。「自分は地方のクラブでとても応援してもらって、ここまでやってこれた部分は非常に大きい。次どこから声をかけてもらえるかは分からないですけど、まだプレーする機会をみなさんに届けたいです。まだやりたいので、是非決まったらまた見に来てほしいです」とファンにメッセージを送った。
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