注目の若手と東南アジアサッカーの発展
――佐藤選手が注目するインドネシア代表選手はいますか。
僕から言わせてもらえば、やっぱり右ウィングバックですね。ヤコブ・サユリが無尽蔵のスタミナを持っていて、ずっと走っていられるような選手なんですよね。リーグ戦を見ても本当に無尽蔵。この前の(イラク戦で)得点を決めた形も彼が右サイドを崩してからでした。本当に速いんですよね。カウンターでもしなにかあったら、彼はやるんじゃないかなと思います。あとはベルギー(2部デインズ)でプレーしている(イラク戦で)得点を決めたマルセリーノ(・フェルディナン)選手は結構技術が高くてテクニックがある選手です。彼も少し違いを生み出せる選手ですね。
――マルセリーノ選手は純粋な国内出身の選手ですね。彼のような存在が増えればインドネシアサッカーの将来も明るそうですね。
ただインドネシアサッカーはいろんなしがらみや政治的な問題がありますから、難しさがあります。僕が最初にインドネシアに来たときは「すげえな。これからすごい勢いで発展するんじゃないかな」と思いました。でも(いまは)思っていたよりちょっと難しいんじゃないかと思っています。
彼(マルセリーノ)はまだ19歳ですしね。この前もイラク戦で(ゴールを)決めましたし、ベルギーでやっています。若くていい選手はインドネシアに多いです。でもどう違いを生むかは、メンタリティーだと思うんですよね。こういう選手が海外に出てそういうメンタリティーを学ぶ。それができることが海外に出る1番大きなメリットだと僕は思うんですよ。
そういう選手がもっと増えればいいと思います。僕が1番思うことは海外に出る選手は多いけど、自国のファンたちが彼らのチャンスを潰していると思うんですよね。
例えばアルハンがヴェルディに行って、試合に出ていないとヴェルディの(SNSの)ページにファンが「出せ!」、「なんで出さないんだよ!」、「出られないなら他のところへ行け」と荒らされて、選手本人も攻撃されちゃいます。そういうところにチャレンジして、人として大きくなって、毎日そういう環境で練習できることが、インドネシアリーグでやるよりすごくいい経験だと僕は思っています。でもそういうことを分かっていないファンたちが多いので、そういう選手たちが潰れてしまう。外から見ている人間としては残念ですね。
――おっしゃる通りです。ルーマニア、デンマークなどでプレーしたからこそ見える視点ですね。
人として成長できることがサッカー選手として成長できることに繋がる。それをすごく感じましたね。海外に出て、一人のサッカー選手としてではなく、一人の人としてすごく成長できたことが自分にとって1番価値のある経験でしたね。
――東南アジアはルーツのある選手の補強だけでなく国内の育成や環境の改善も含めて発展が必要そうですね。
そうですね。最終的な解決方法はその国のアカデミーから底上げをしなきゃいけないと思っています。そこがフィリピンにとって1番のチャレンジです。2030年ワールドカップを目指すことを考えたときにこういう解決方法はアリだと思いますけど、長い目で見たときに国内サッカーの発展がしっかりしないといけないと思います。
だから僕も近い将来は育成のほうにも力を入れながらやっていきたいと思っています。そういう形でフィリピンサッカーを盛り上げる、助けられたらと。自分はすごくフィリピンに感謝している。フィリピンがなければいまの自分は間違いなくいない。それはな何回もどの場所でも言っていることですし、そこに還元できるようなことができればと思って動いている感じですね。いまの僕の夢は、サッカーを通してフィリピンと日本を繋げるじゃないですけど、自分はやっていきたいと思っています。