Qolyアンバサダーのコラムニスト、中坊によるレポートをお届けします。

広島は6月になんと9連戦。中2日での試合が続く過密日程をこなし、満身創痍とも言える状況で、連戦最後の試合となったアウェー川崎での広島を振り返ります。

同点弾・満田誠

この試合のトピックとしてはやはり満田誠。今季なかなかコンディションが上がらず、3節前の横浜Fマリノス戦では退場処分。本来のポジションであるシャドーの位置で起用ではなく、左サイドでの起用。自身としても結果がでないもどかしさや、同い年の川村拓夢が今年の夏、オーストリア・ザルツブルグへの海外移籍を成し遂げたことで焦りもあると思われる状況。そんな結果を出すしかないターンで見事に結果を出しました。

満田はスタメンこそ左サイドだったものの、試合中にめまぐるしくポジション変更を余儀なくされ、左サイド→ボランチ→シャドー→左サイドと移動する中、それでもゴールという結果を出したのは見事。88分のゴールは川崎・マルシーニョの先制点に対する「ディフレクション返し」となった一発でした。

広島の今後の補強ポイント

広島、チームとしてはドローながら、6月地獄の9連戦という過密日程踏まえればアウェーで勝ち点1は悪くはない結果です。

ただ、前半の押し込まれ方、そして逆に後半の押し込み方を見ても編成の偏りが凄く、何故ここまで歪な編成なのかと改めて驚いてしまいます。

アタッカー陣がとにかく豊富で、前半にはドウグラス・ヴィエイラ、加藤陸次樹、大橋祐紀、満田誠を擁し、終盤にはピエロス・ソティリウ、マルコス・ジュニオール、エゼキエウまで同時起用するほどの層の厚さ。しかし一方で中盤、特にボランチが苦しく、前半は川崎の脇坂達を捕まえきれず中盤で相手にイニシアティブを握られる展開でした(もちろん9連戦で疲労困憊の事情はありますが)。

広島のフロントとしても、ここが間違いなく補強ポイントだとして認識しているでしょうが、逆輸入の川辺駿をはじめとして候補は多いので誰をこの夏に補強するかが問われます。

それこそ広島出身の川辺だけではなく、ベルギーの三竿健斗、スコットランドの岩田智輝といった面々がボランチ逆輸入リストとして控えている状況です。川村のザルツブルグ移籍により、2.6億円の移籍金を手にしているため、確実に補強に動くのは間違いありません。

ただ、一抹の不安としては広島の編成側は開幕前にボランチは足りている趣旨の発言をしていたことがあるため、編成サイドの頭数とのズレが大きすぎる虞からまさかの補強なしも考えられます。その場合、ACL2が開幕する秋以降、過密日程による疲労に蝕まれて優勝争いからは脱落なのは確実と思われます。

大橋祐紀の素晴らしさ

最後に、個人的にはゴール決めた満田以上に、大橋祐紀の素晴らしさが本当に印象に残りました。先週の柏戦、横浜戦はドリブルのキレが際立ちましたが、今日はボール受けた際のターンが見事でした。

パス受けて相手を剥がしつつ、前を向いて展開できる選手が最前線にいるとチームとして本当に助かるし充実の出来でした。大橋のなんでもできる引き出しの多さに魅せられた試合でした。

ライター:中坊
1993年からサッカーのスタジアム観戦を積み重ね、2023年終了時点で962試合観戦。特定のクラブのサポーターではなく、関東圏内中心でのべつまくなしに見たい試合へ足を運んで観戦するスタイル。日本国外の南米・ヨーロッパ・アジアへの現地観戦も行っている。
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