二人の神戸愛

押富主将と田村は神戸に特別な感情を抱いている。押富主将は2学年上のMF泉柊椰(現在J3大宮アルディージャに育成型期限付き移籍中)、1学年上の神戸MF山内翔(かける)と仲が良く、大学を経由して神戸に帰還したアカデミー時代の先輩たちの背中を追い続けている。

アカデミー時代の先輩MF山内翔(筑波大所属時)

昨年2月に神戸とJ3松本山雅FCとのJリーグプレシーズンマッチ2023直後に行われた松本とのトレーニングマッチに押富主将は練習生として試合に出場した。観衆が集まるノエビアスタジアム神戸で泉、山内とともにプレーできた記憶はかけがえのない経験となっている。

「あの試合をしたときにプロで活躍したいと強く感じました。柊椰くんも翔くんも神戸時代良くしてくれた先輩だったので、先輩に追いつきたい気持ちがすごく強いです。難しい日々が続いていく中、二人が活躍してる姿を見て悔しい気持ちと同時にもっとやらないといけないと感じています」

昨季は練習生としてキャンプに帯同して元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(現・UAE2部エミレーツ・クラブ)、元日本代表FW大迫勇也、同DF酒井高徳からプロの振る舞いを学んだ。

「一つ一つの技術の質と相手を見てサッカーをするプレーがすごくうまいですし、そこの部分を付けていかないといけないと感じました。イニエスタ選手、大迫選手、酒井選手と、一人一人の選手たちの普段の意識、サッカーのときの意識が高かったです。練習が終わってからも自分の足りない部分のフィジカル面を強化したりとベテランの選手があれだけ頑張っているので、若手選手はやらないといけない環境ができていました」とプロを目指す押富主将にとってこの経験は一つの指標となっている。

精度の高いコーナーキックを見せた押富主将

今季は神戸の練習に参加していないが、プロクラブ入団に向けて自身を日々研さんしている。

「課題として得点力があります。最後の質が自分の課題なので結果、数字を出さないと評価されない。この大会でチームの勝利もそうですけど、自分の中でゴールやアシストといった数字を出していって、プロに注目されるようなプレーヤーになれるように頑張っていきたいです」と意欲を見せた。

そして憧れの神戸にいつか入団することも夢見ている。地元の少年団から神戸アカデミーへ入団した押富主将は基礎技術や、サッカー選手としての振舞い方を学んだ。

「神戸アカデミーは自分を変えてくれた存在だと思っています。小さいときからお世話になったクラブなので、神戸のために頑張りたい気持ちをずっと持っています」と神戸帰還を掲げた。

田村も2年後に神戸入団を目指している。復帰は簡単ではないが、大学屈指のゴールキーパーとなって古巣へ返り咲く青写真を描こうとしている。

「1番そこ(神戸)を目指しています。どうなるか分からないんですけど、そこに向けていい準備をして、2年後か、その後でも神戸に戻れたらと思っています。まだ足りない部分も大きいので、もっと自分の課題に向き合ってこれから成長して頑張りたいです」と成長を誓った。

【インタビュー】“ヴィッセル神戸の未来”筑波大MF山内翔のアカデミー時代、あるサポーターの追憶

可愛い子には旅をさせよという諺(ことわざ)がある。神戸を離れて愛知県で実力を磨く神戸アカデミー出身コンビはときにはたくまく、ときには華麗に活躍して全国大会で印象的な活躍を見せた。いつの日かヴィッセル神戸のシャツを着て、ノエスタでファンを沸かせる二人を観戦したい。

(撮影、取材・文 高橋アオ)

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