「ジャナドリヤ祭」への落差

外務省やその関連団体による国際交流事業にJFAが協力する関係は、もちろんこれまでもしばしばありました。

私が覚えているのは、2011年の震災前にあったJFA月例理事会後の記者会見で、北澤豪特任理事(当時、現理事)がサウジアラビアに行き、現地でサッカー教室を開くというリリースです。ただ、これはJFAとしてではなく、JICAのスペシャルサポーターとしての活動を紹介するという形式でした。

これは、サウジアラビアでの大規模な「日本キャンペーン」と連動していました。サウジの首都リヤドでは毎年1回「ジャナドリヤ祭」という「伝統と文化の国民祭」が開かれていて、普段は映画や音楽などの娯楽が厳しく制限されている国民にとって数少ないお祭りです。この「ジャナドリヤ祭」では毎年「名誉ゲスト国」が定められ、特別パビリオン館で自国の文化や科学技術を大々的に宣伝できます。この試みの4回目で東アジアから日本が初めて選ばれたのだとか。実際には時期的に「震災と原発事故からの復興」が前面に出たようですが、それはそれで重要な機会になったようです。

日本貿易振興機構(JETRO)公式サイト内、2011年5月トピックス、「サウジアラビアの「ジャナドリヤ祭」日本館に出展-JAPAN Lifestyle Showcaseで日本の今を紹介-」
https://www.jetro.go.jp/jetro/topics/1105_topics1.html

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ジャナドリヤ祭の終了後、日本館の入口に集合したスタッフの写真。
<出典:在サウジ日本大使館公式サイト>

そして、このジャナドリヤ祭会場ではないものの、サウジ全土で展開される大規模キャンペーンで日本サッカーもJICAを通じて紹介されるという運びに。その説明をした田嶋副会長(当時は専務理事兼任)は、「これはとても名誉な事なので、皆さんぜひ宣伝して下さい」とお願いをしていたのですが……翌日のスポーツ紙やフットボール系のウェブサイトで「ジャナドリヤ」という名前が出る事はありませんでした。ただ一つ、その週のテレビ朝日系「やべっちFC」が、この時期に予定されていた(その後に中止)U-22代表の中東遠征とも絡めて触れたのが、少なくとも私が知る限りでは唯一です。

サッカーは世界中で人気の高いスポーツで、日本代表にも男女両方で多くのスポンサーが付いている事もあり、JFAは非常に多くの事業を手がけられるようになっています。その中から新聞やメディアが限られた時間や紙面の中で伝える動きは、代表絡みを中心とした「ニュースバリュー」のあるものにどうしても限られてしまいますが、このQolyはウェブマガジンですので、これからもこういった「ちょっと変わった動き」、あるいは「他の組織や活動と連動する試み」などを、私なりの視点でお伝えしようと思っています。

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