でも、さらに「乗り気」なのは……

ところがこのASEAN(AFF)諸国との交流、JFAは2013年12月15日に概要を発表していたのですが、もっと詳細な情報は、2014年3月27日付で外務省からこの「報道発表」で公表されていました。

4月1日   来日、オリエンテーション

4月2日   トレーニング、堺市長表敬訪問

4月3~5日 「U-14 日アセアン青少年サッカー交流」(堺・J-GREEN)
(日本を含めた12カ国によるトーナメント)

4月6日   同交流決勝戦(堺・J-GREEN、AFF加盟各団体会長等観戦予定)、レセプション、Jリーグ観戦(G大阪-鹿島、16時00分、万博)

4月7日   大阪市内見学(大阪城公園の桜)、新幹線移動、日産スタジアム見学

4月8日   東京都内見学(浅草寺・皇居・台場)、政府関係者表敬、商業施設訪問

4月9日   出国
(同日にJFAハウスでJFA・AFF・東アジア地域「合同会議」)

そして発表のタイトルは、「JENESYS2.0 日ASEAN青少年サッカー交流の実施」。

この「JENESYS2.0」についてはこんな解説が付いています。事業を実施するのは、外務省所管の独立行政法人である国際協力機構(JICA)との関係が深い一般財団法人、日本国際協力センター(JICE、http://sv2.jice.org/)です。

2013年1月18日,インドネシア訪問中の安倍総理は,2007年から実施したJENESYSの後継として,3万人規模でアジア大洋州諸国との間で青少年交流事業「JENESYS2.0」を実施することを発表。本件事業は,日本経済の再生に向けて,我が国に対する潜在的な関心を増進させ,訪日外国人の増加を図ると共に,クールジャパンを含めた我が国の強みや魅力等の日本ブランド,日本的な「価値」への国際理解を増進させることを目指している。

「GENESIS」だと旧約聖書の『創世記』、あるいはこの単語をファーストアルバムに盛り込んだイギリス(イングランド)のロックバンド、「ジェネシス」になりますが、これは最初の文字が「J」。"Japan-East Asia Network of Exchange for Students and Youths (JENESYS) Programme"、日本語の正式名称では「21世紀東アジア青少年大交流計画」です。2007年の第1次安倍晋三政権の時に作られた計画が民主党政権でも続けられ、安倍が首相に復帰した2013年1月に新たな計画として「2.0」へとバージョンアップ(?)したこの計画は、アジア太平洋地域の青少年約3万人を日本へ招き、企業視察や観光地・展示施設訪問を含めた「日本ブランド」の国際理解を求めるという内容です。

invisible-touch
こっちが「Genesis 2.0」?
フィル・コリンズのヴォーカルで全米1位・全英3位を取ったアルバム"Invisible Touch"。

その中で、サッカーは日本とASEANで共通の人気スポーツとして取り上げられています。そもそもこの「U-14交流」も、東京で開かれた日本とASEAN諸国間の特別首脳会議の際に安倍首相から紹介され、その翌日にJFAが開催のリリースを出したものです。

去年から『新しい時代』に突入した感もある日本サッカーと東南アジアの関係強化には、もちろんその前からJFAが進めていた指導者派遣活動も大きく貢献しているはずですが、こういった日本政府の外交政策にも影響されている点に気を付けると、少し違った見方ができるのではないでしょうか。

<注:この「JENESYS 2.0」では、中国や韓国との交流事業も実施されている事を追記しておきましょう。両国との外交では難しい局面が続いていますが、これは「封じ込め」ではなく「相互理解」の政策です。>

ちなみに、2月22日にはスカパーがインドネシアで日本のテレビ番組を放送するチャンネル、「WAKUWAKU JAPAN」を開局しています。同局ではJリーグも放送し、今回のインドネシアのU-14チームも観戦したG大阪-鹿島戦も録画中継していました(次節は大阪ダービーの生中継)。また同チャンネル独自の企画として、インドネシアのユース年代の選手が現地トライアウトを経てG大阪のユースに練習参加し、その入団を目指すドキュメンタリーを制作したそうで、日本のスカパーでも番組の告知が流れていました。

もしかしたら、今回の会議日程や観戦試合の選定もこの企画と連動していたかもしれません。G大阪のトップチームが活躍する姿を見せればもっと大きな刺激になったでしょうが、そこで引き立て役にならず、万博で完勝する鹿島はさすがですね。