グアルディオラの練習における「独自性」

上記の文章を読むだけなら、別におかしなところはないように思えるかもしれない。しかし、ここにはいくつか面白い部分がある。

まず1つは、バイエルンが「ポゼッションの練習」を一度として行っていないことだ。所謂「ロンド」と呼ばれ、日本でサッカーをしていたものにとっては「鳥かご」という名で親しんでいたはずの練習や、2チームでパスを回すような練習は存在しなかったのである。

しかし、そういったポゼッション練習を行っていないにも関わらず、バイエルンの試合でのパス成功率は94%。問題なく、何時ものように圧倒的なポゼッションでアーセナルを圧倒した。このようにアップでポゼッション練習を省いているのは、今季のマンチェスター・シティにも見られる特徴だとLouis Lancaster氏は語っている。

そして、それ以上に不思議な部分がある。

それは、練習においてジュゼップ・グアルディオラ本人が全く関わっていないことだ。それどころか、他のコーチもグラウンドに姿を見せてすらいない。唯一フィジカルコーチだけが、スプリント系練習の指示を出していただけだったのだ。

これは非常に興味深い特徴である。言い換えれば、試合前の練習は全て選手主導によって行われていた。

練習の中心となっていた選手の1人として予想されるのは、サイドバックのフィリップ・ラームだろう。クロスの練習をシュート練習後に始めたのは、彼の発案である可能性が高い。

ロッベンが個人練習を行っていたことからも解るように、選手たちには練習における選択の自由が与えられているのだろう。