◎ブラジルに潜む危険

次に、GLでの勝ち点差と決勝Tの勝敗を関係させてみました。

<図2>は決勝T全試合、<図3>は1回戦で対戦チーム間にGLでの勝ち点差があった場合、どちらがどれだけ勝つかを示した物です。試合数に差があるので、勝ち点が多かったチームの勝率も計算しました。

<図2>GLで勝ち点差があった場合の決勝Tでの勝敗結果と勝ち点の多いチームの勝率
(左側:勝ち点が多いチームの勝利数、右側:少ないチームの勝利数)

<図3>GLで勝ち点差があった場合の1回戦での勝敗結果と勝ち点の多いチームの勝率
(左側:勝ち点が多いチームの勝利数、右側:少ないチームの勝利数)

決勝T全体で見ると、やはりGLで勝ち点を多く取ったチームの方がそのまま勝ち上がるケースが多いです。全体では39勝20敗、勝率66%。4点差で勝率が下がるのは、2006年にGLでトーゴにしか勝てなかったフランスが3連勝で通過したスペイン・ブラジル・ポルトガルと連破したためです。

1回戦限定にしても、21勝9敗、勝率70%と勝ち点の多いチームが有利です。ただし、勝ち点1差だと4勝3敗、2差では3勝3敗で、どちらが有利とは言いづらくなります。勝ち点3差以上を付けると14勝3敗になるのとは大きな違い。

2014年の決勝T、1回戦のカードでGLでの勝ち点差が1なのはブラジル(7)-チリ(6)、2差はオランダ(9)-メキシコ(7)。毎回1試合はGL2位チームが勝利している事を考えると、この2試合は要注意です。

そしてもう一つ、特にブラジルにとって嫌なデータは、GLでの勝ち点別の1回戦勝率です。勝敗数とともに<図4>で示しました。

<図4>GL勝ち点別の1回戦の勝敗結果(左軸)とその勝率(右軸)

GLを3連勝、勝ち点9で突破したチームは、1回戦を9勝1敗の好成績で抜けています。唯一の敗戦は<図3>でも触れた2006年のスペインです。ところが勝ち点7の場合は9勝7敗、勝率56%。このうち2敗はGL2位での結果ですが、これを除いても64%にしかなりません。

一方、勝ち点6だと5勝6敗で、1位通過だと3勝1敗、2位だと2勝5敗です。今回はチリ・ウルグアイ・スイスがいずれも2位で決勝Tに進み、ウルグアイはコロンビア、スイスはアルゼンチンといずれも勝ち点9の1位チームと対戦です。この2チームは厳しそうですが、チリはもしかしたら、ブラジルに対抗できるかもしれません。もちろん、この両国の対戦成績はブラジルが圧倒的に有利で、W杯の本大会でも1962年準決勝(4-2)と1998年決勝Tの1回戦(4-1)、そして前回2010年での決勝Tの1回戦(3-0)と3戦3勝ですが……圧倒的なホームの雰囲気が重圧になった時、このデータは不気味さを増すでしょう。

今回は勝ち点4での2位通過はギリシャ・ナイジェリア・アメリカ・アルジェリアと4チームありますが、いずれも2位通過だった過去11チームの結果は4勝7敗。勝ち点7の1位チームと対戦すると2勝5敗で、今回のベルギー-アメリカ戦のように勝ち点9と当たる場合は2敗。ここから逆転でベスト8に進むチームがあるかは、なかなか難しいのではないかと。

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