現地時間28日、英国各地でキャピタルワンカップ4回戦が行われ、プレミアリーグで首位をいくチェルシーはアウェイでシュルーズベリー・タウンと対戦した。

イングランド4部リーグ、「リーグ・ツー」に在籍するシュルーズベリー・タウンは1886年創設の伝統あるクラブ。雨降るピッチの中選手たちは格上相手に懸命に戦ったが、ディディエ・ドログバに先制点を許すと試合終了間際にオウンゴールで失点。1-2で試合を落とし、カップ戦からの敗退が決定した。

そんなこの試合のキックオフ直前、チェルシーのジョゼ・モウリーニョ監督が対戦相手のサポーターを訪問している。試合前という時間は、本来であればチーム関係者以外との接触が禁じられているケースが多い。勝負に対してストイックなモウリーニョであれば、なおさらその傾向は強いだろう。

しかし、この日の事情は少し特別なものであった。

車椅子に座ったこの少年の名は、ロイド・バートン君。現在11歳のシュルーズベリー・タウンサポーターで、将来有望と目されていたサッカー少年でもあった。

実はこのロイド君、昨年5月に脳腫瘍が見つかり現在化学療法での治療中であるのだ。ロイド君はテレビ番組のがん克服キャンペーンにも登場しデイヴィッド・ベッカムとも出演経験があるようで、「シュルーズベリー・タウンの最も有名なサポーター」と呼ぶ声もあるんだそうだ。

そんなロイド君の左には、モウリーニョ監督の肖像画がある。これはロイド君が地域活動の一環で描いたものだ。モウリーニョ監督は過酷な闘病生活を送る対戦チームのサポーターに勇気を送るため、試合前にもかかわらず面会を認めたのだ。

モウリーニョ監督はロイド君と面会を果たすと、自身を描いたその肖像画に白いペンでサインをした。面会時間は明らかになっていないが、そう長くはなかっただろう。しかし、ロイド君にとって憧れの人物が寄り添ってくれた記憶は今後の闘病生活を送る上で大きな支えとなるに違いない。

なお、この肖像画はオークションにかけられる予定であり、集まった資金はロイド君が自宅で快適に過ごせるよう利用されるという。マンチェスター・ユナイテッドやアストン・ヴィラからもスカウトされたというこの少年の未来を遠い日本からも応援したい。

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