今季もバイエルンは国内で首位を快走中であり、全コンペティションで勝ち残っている。しかし、首脳陣や選手たちが手放しでペップを称賛するほどには、筆者の評価は高くない。もしかするとファンの評価と言い換えてもいいのかもしれない。

それはひとえにカウンター対策の拙さが要因である。

昨季CL準決勝でマドリーに完膚なきまでに叩きのめされたのは有名だが、カウンターに弱いという世界中に露見されている弱点は今季も改善されていなかった。前期のドルトムント戦は勝ったものの、先制点は見事なカウンターを決めた黄色の労働者達であり、前節のボルシアMG戦では弱点を気持ちいいほどに二度突かれ、完敗を喫した。他にもヴォルフスブルク戦などカウンターで失点したシーンは多くある。

ペップ・バイエルンの勝ち方は支配率を可能な限り、具体的には70%以上高めて圧倒するものだとしたら、負け方はまさにあのボルシアMG戦のような試合内容だろうと言いたくなるほどだった。本来強いチームに負け方など存在してはならない。

強いチームが数少ない苦渋をなめるときは事故のようなときだけというのが私の持論である。しかしあろうことかペップ・バイエルンは典型的な負けパターンを作ってしまった。

バイエルンの強烈なポゼッションという圧力にも屈せず、数少ないカウンターのチャンスを逃さない鋭い攻撃を持つチームであれば、いつでも勝つ可能性はあるわけだ。

そして更なる問題はペップがカウンター対策にここまで有効な答えを出せていなかったことである。だからこそマドリーに負けてから1年近く経つというのに、ボルシアMGにも負けるのだ。

しかし、ここにきてペップは答えを見つけたのかもしれない。それは先日のドルトムント戦で明らかになった。

【次ページ】 指揮官グアルディオラがドルトムント戦でみせたアプローチとは…。