数々の問題行為を起こしてきた2チームのサポーターを接触させないため、警察官が必死で防ぐ。サンダーランドサポーターの侵入を阻止するために、警察官が横一列に隙間なく並んで駅の入口を封鎖していた。
警察官を間に置いても、彼らは野次を飛ばし合う。老若男女、大人も子供も関係ない。全員が憎き隣町のライバルの到着を「歓迎」する。サンダーランドのサポーターたちが、指を4本立てながらアウェイのサポーターを煽る。これは直近のダービーでサンダーランドが「4」連勝していることを示唆したものだ。一方で、手荒な歓迎を受けたニューカッスルサポーターも中指を立て、最近逮捕された相手チームの選手を非難するチャントで応戦する。
しばらくすると、到着したニューカッスルサポーターの群れは、駅前から姿を消した。混雑する通りの様子を写真に収めていると、1組のカップルに「写真を撮ってくれ」と声をかけられた。二人でダービーの観戦に訪れた際は、必ず撮っているのだと言う。男性から「ニューカッスルの奴ら、もう来たか?」と問われたので、「数分後には別のグループが来るのでは」と答えた。彼はどうしても、アウェイサポーターの彼らの到着を待ち受けたいと言う。
どうしてわざわざ、そのように煽るようなことをするのだろうか。男性曰く、これは「ある種の祭りみたいなもの」だと言う。「憎き敵がおれの街に来る。だから盛大に出迎えてやらないとな」と彼は言って、豪快に笑いながらビールを流し込んだ。
女性のほうは、このダービーのことをどう思っているのだろう。面白いことに、元々彼女はサッカーには興味が無かったという。だが、「自分の男の好きなものについていくのが、良い女ってもんよ」と自慢げに言う。
「昔は気にもしなかったわ。けど、この街で育った彼の熱意にやられて、今ではすっかりサンダーランドを応援しているの。もちろん、ニューカッスルのことは大嫌いよ!」。彼の強烈な地元愛が、彼女に伝染したというわけだ。