ワシが育てた
現在、代表の主力であるメンバーは佐々木監督がなでしこジャパン監督就任以前・以後に面倒を見てきた選手である。2006年にU-17代表監督、2007年から2010年まではU-20代表監督をフル代表の役職(コーチ・監督と)兼任していたからである。
2009年のAFC U-19女子選手権では優勝を経験しているが、MVP、大会得点王は現在フル代表の岩渕真奈であった。熊谷紗希、中島依美、高瀬愛実、宇津木瑠美、田中明日菜など彼の下で指導を受けた選手は多い。
まとめると…
男子サッカーともども、昨今では五輪予選、ワールドカップ予選を突破するのが当たり前になってしまっている。我々はそれに慣れ過ぎたのかもしれない。男子サッカー界でも、大陸で安定した強さを誇るメキシコやブラジルが予選落ちをささやかれるほど苦しむこともあるのだ。
リオ五輪の予選は、ホームで開催されたという点もあって“通過するのが前提”という向きもあった。もしかしたら、日程もそれを加味していたのだろうか? 初戦のオーストラリアに気持ちよく勝利することを前提に組まれていたのかもしれない。
結果論になってしまうが、初戦あるいは2試合目の相手がベトナムになっていて、そこで6-1の勝利をあげていたらどうだっただろうか? もしかしたら違った未来が見えたかもしれない。
予選は過酷なものだ。1つ歯車が狂えば失敗してしまうし、それはどこの大陸でも珍しくはない。ましてや、男子と違って短期集中の過密日程で大会は行われたのだ。一度崩れてしまった組織を立て直すことはできなかったのだろう。
女子サッカーの世界では、アジア予選は「世界の強豪と連戦」もありえる“魔のデスロード”なのだ・・・ということを我々も知る必要がある。
佐々木監督が8年の間に残した功績は大きい。それゆえ日本は世界でも1、2を争う強豪チームと思われがちだが、そのイメージを作ったのが佐々木監督であったということも忘れてはならないだろう。