厳しい財政と選手の流出

そのクラブがなぜわずか数年で苦しい状況に追い込まれてしまったのか? そこにはお金の問題があり、「倒産するほどではないが、強化が難しくなっている」のだ。

現在マルセイユの会長を務めているのは映画、テレビ業界の実業家であったヴァンサン・ラブルヌ氏。

そして実質大きな発言権を持っているのが大株主のマルガリータ・ルイ=ドレイファス氏。

彼女はスタンダール・リエージュの株式も保有しているため、もしかしたらミシ・バチュアイの獲得にも影響があったのかもしれない。

ロシア出身の彼女は実業家ロベルト・ルイ=ドレイファスの未亡人で、世界でも200位に入ってくる大富豪として知られている。

このように富豪に支えられているはずの彼らであるが、マルガリータが引き継いだ2009年からしばらく経ち、徐々に財政的な問題が明らかになってきた。

2011年にはスタッド・ヴェロドロームの大改修を行うため、マルセイユの重要人物である両者が大きな投資を行った。

しかし2012年にチャンピオンズリーグ出場を逃したことから放映権収入が減少し、4000万ユーロ(およそ46.7億円)もの損失を出してしまう。

DNCG(フランスリーグのクラブの経営を監視する組織)にその状況を問題視されたことにより、マルガリータはクラブに貸していた3000万ユーロ(およそ35億円)を放棄し、更に1500万ユーロ(およそ17.5億円)を投資したという。

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