怪我が多すぎて…
なぜ本気度がこれほどまで低いかといえば、今回のシリア代表からはチームのカギとなってきた選手がかなり抜けているからである。
サウジアラビアで得点を量産している「シリアン・イブラヒモヴィッチ」ことFWオーマル・アル・スーマーは、この4年間シリアからの招集を拒否しているので、これは想定内である。
彼はパートナーがサウジアラビア人であり、そちらに帰化したいという意思があるのだ。先日の『akhbaar24』の報道によればもうサウジアラビアの市民権獲得は間近らしい。彼の抜けは本気度に影響はしていない。そしておそらくこれからも…。
しかしなお、それでもである。
まず先日左サイドでDFもMFもこなせる中心選手ナディム・サバフが怪我で離脱した。中盤では2015年に日本戦で強烈フリーキックをポストに当てたMFウサマ・ウマリ、筆者が好きな「10番」アブドゥルラザーク・アル・フサインも不在である。
何より残念なのは前線である。オランダで活躍したFWサンハリブ・マルキやベテランFWフィラス・アル・ハティブは33歳なので年齢的にしょうがないとしても、エース的存在のFWオーマル・ハリビンまで怪我で壊れてしまったのはあまりにも大きい。
そして、それで若い期待株が呼ばれているかというとそうでもなく、これまでのサブメンバーで埋めたというような形になっている。
彼らもこのあと中国とのワールドカップ予選を控えているため、大きな冒険には出られなかったのだろう。
いろいろな状況が重なってのこのメンバーなのだろうが、シリア代表を追ってきた人間からすれば、直前でサバフとハリビンが抜けたのは本当に残念でならない。
今回のシリアはワールドカップ予選に向けた本気のチームだが、「万全ではなく、冒険も出来ない状況だった」と考えたほうが良いだろう。