阪神タイガースがあってもいい!
――昔のほうが個性ある選手が多かったと。衝撃を受けた選手は?
草木:やっぱりガマさん(釜本邦茂氏)ちゃうかな。
ヤンマーに入って「釜本がなんぼのもんじゃ」と思ってたけど、練習したら「なんやこれ」やったね。ガン!と後ろから行っても、全然動かへん。「なんや、岩か!」と思った。ホンマにすごかった。足元もうまいしね。
あと、ヘディングといえば原さん(原博実氏)。CKでストーン(ニアのゾーンを埋める役割)に入ったら、原さんのヘディングが当たっただけで悶えるくらい痛かった(笑)。
でも、彼らも誰に何を教わったわけではないからね。
――ヘディングがうまくないというのはよく言われますね。
草木:それは中学生の課題やね。世界大会行ったとき空中戦で全然勝てへん。海外の選手は試合の中で体の使い方を覚えたりするんやけど、日本はやりかけると「ピッ」て吹く。
審判には「FWが育たへんのとヘディングが弱いのは君らの責任やぞ」とよく言う。今の日本の環境ではストライカーは育たないと思うね。レフェリーに守られている。
怪我をさせるプレーは悪いけど、激しさとか強さは体で覚えなければムリやからね。
――そのあたりは日本リーグ(JSL)時代のほうが激しかった?
草木:汚かったね。読売クラブとかめっちゃ汚かった(笑)。ジョージ与那城、ラモス。松木(安太郎)さんなんか一番汚かった。めっちゃ嫌やったもん。「絶対足に来よるわ」と。
でも割り切ってたんやろうね。これがオレらのサッカーやと。これがプロやと。読売が一番凄かったんちゃうかな。アマチュアとは違ったね。
日本の育成は成功していると思うけど、ここからもっと変化をしていかなきゃならんかな、というのがあるね。日本のクラブから海外へ行く選手が増えて、結果は出てるけど。ただそれも他のクラブからJに入って…ということやから、一概に一貫指導されてるとは限らへんよね。香川真司も。
今でもボロカス言って走らせてというクラブもあるけど、そこからもJリーガーが出ている。結局精神的にタフな子は挫折したところで踏みとどまれるが、弱い子は踏みとどまらずに遊びに逃げるということがあるね。
――日本には遊びに逃げやすい環境がある?
草木:日本は共通の話題がまだサッカーではないからね。街が出来たところにクラブが生まれた。欧州はクラブの周りに街ができた。だからスタイルが守られるし、応援される。
その価値観も必要やね。だから阪神タイガースがあってもええんちゃうかな(笑)