日本のレベルは「めちゃくちゃ上がった」!しかし…
――草木監督は関西国際大学でも教えられていましたが、プロやアマチュアのクラブと求められるものに違いがありますか?
草木:人数が多いから、早めに名前を覚えることやね(笑) 。最初は70名おったけど一週間で覚えた。勝手にあだ名つけたりしてね。
選手の特徴を掴むことは難しい。今MIOびわこ草津に行った原口(原口大祐選手)がおったけど、彼も発見したのは夏くらいやったから。
――選手の入れ替えも大変になりますよね。
草木:でも、出来るだけ活性化させないとモチベーションが下がるからね。社会人リーグの方にも参加して。こっちも最後は兵庫県1部まで上がったんかな。
その4部とかって、めっちゃ質低いのよ。文句は言う、足は蹴る、飛び蹴りしてくる、終わったあとに胸ぐら掴む。ちょっと教育上悪いから早く抜けようとね(笑)。
でも、サッカーといえどもいろいろあるよ。世界へ行ったら、食べ物も風土も気候も違う。それぞれで変わる。同じスペインでも地域で特色がある。
――イタリアでも非常に攻撃的なチームや監督が出ますよね。
草木:モンテッラ(現ミラン監督)は面白いよね。(フィオレンティーナへ)行った時に色々話は聞かせてもらった。
練習は攻撃的で、ネガティブな言葉は使わへん。「ボールを失うな」ではなく、「保持し続けろ」と言う。前向きな発想でやっているね。
――日本の指導は?草木監督が現役時代と比べて、サッカーのレベルは向上しましたか?
草木:めちゃくちゃしたんちゃうかな。一貫指導というのが定着してるよね。各カテゴリが整備されて。欧州は1歳ごとにチームを作っていて、それを取り入れた。
昔は「ガンといってボンといってドンといけ」やったからね、全くわからへん。これを監督が言うんやからね(笑)。だけど、だからこそ自分で考えて育って、職人が生まれてきたんやろね。今はそういうのはおらん。JFAが「金太郎飴」を作ろうとするから。
日本の考え方は「このカテゴリみんなで一緒に上がろう」。でも欧州はたくさん集めて「上がれるのはこれだけ」という形。
――金太郎飴ができる理由は学校やユースの育成?
草木:いや、それよりは子供やと思うね。U-12まで。
松本:ポジションを決めずに個の技術を高めるという目的があって、スペシャリストが生まれないところはあると思いますね。8人制になったからなおさら難しくなっているのかなと。蹴ってはいけないみたいな風潮もあって、ヘディングが強い子が育たないとか。