「自分がよく思われたい」指導者が多すぎる

――草木監督はアカデミーのアドバイザーもされていますが、一貫した指導に気をつけていますか?

草木:あの年代では蹴ることよりもボールを扱う作業やね。身のこなしであったり、アジリティの部分。それを習得しながら次のカテゴリへ繋げる。

地方によっては蹴るサッカーが多いところもある。勝つためにね。それは、「勝つ指導者が良い指導者」というレッテルがあるから。

ベンチのマナーがめっちゃ悪いところもあんねん。「子供がかわいそうやろ」と。自分は全然関係ないんやけど「お前オカシイぞ」って言ったろうかと思った。それはなんでかというと、ハーフタイムにタバコ吸いながら指導し始めたんや。それにカチーンときてね。

その子たちはプレーするたびに監督の顔をチラッと見る。どんな練習をするんかと思ったら「動けや」と。どう動いたら良いのか教えてへんのに動けと。子供は混乱するよね。

松本:ウチではないですよ(笑)。

草木:…というのはいっぱいあったし、まだまだある。それが全くダメというわけではないけど、理念をもってやらなあかんよ。

「他がこうやってるからこうする」ではアカン。オレはこう思うから、そう育てるためにこうすると。そうしたら、賛同する人が集まればいいわけやし。

――他のチームも見てきて、この何年で変わってきてますか?

松本:変わってますね。ベンチでタバコ吸う人なんか10年前はほとんどでしたし、怒鳴ってる人ばっかりやったんですけど、そこはJFAががんばってくれて。サッカーの一番いいところはライセンス制度で、そこで最低限の知識とマナーを学べる。ベンチワークや子供への接し方、大人としての振る舞いは変わってきてますね。

ただ、みんながC級で習ったことだけをやっててもダメですから、色々なクラブがあったほうがいいなと思いますね。でも未だにいますよ、ベンチにふんぞり返って「おい!」って言う監督も。

草木:指導者の質なんかな。「いつも練習でやってるやろ!」って言う監督おるけど、誰にアピールしてるんやと。それは子供がやったらええ話で、誰に言うてるのと。

「自分がよく思われたい」というアピールをする指導者が多すぎる。そんなんいらんよ。

――親御さんが見にきているというのもあるんでしょうね。

草木:練習したけどできん、それは当たり前。時間かけてやれるようにするのが指導者の役割や。勝った、負けたはその先の話でええと思う。「ああ、こんなん出来るようになったんやな、次はこれもできるんちゃうか」という投げかけのほうが大事やね。

10人おってうまく出来る子なんか3人くらいしかおれへん。無理してやってる子が陽の目を浴びるようにしてやれば、次の段階に到達する時間はもっと短くなると思うんやけどね。そこに辿りつけないと、サッカー辞めたりもするから。

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