日本の子供に必要なのは「目の輝き」
――日本は海外と比べると高校、ユース、大学など選択は広いですが、突き抜けるものが必要?
草木:全てが学校体育でしょ。暑い時は帽子を被れとか。給水タイムはJリーグや代表までやりだした。日本のローカルルールが世界へ行った(笑)。
確かに、選手が試合中に死んだとかあったから大事なのかもしれんけども。それは「誰が責任を取るんや」という話やね。昔と比べると気候も変わったし、子供のタフさも違う。同じことを要求しても合わない。
今の子は進化してるんよ。争いごとをしない。僕らは権力を誇示するために威張ったり、争ったりして優劣を決めたわけやけど、今はそれが必要ないからね。でも、話せば理論的に説明が出来る。だからある意味争いのない世界で先に行っている人や。俺らよりも上の人やね。
――サッカーではプラスなのかマイナスなのかは難しいですよね。
草木:もっと変わってくるんやないかな。もっと綺麗になる。
松本:過渡期ですよね。
――先ほど「スポーツと教育が同時に学べる場所が必要」と仰ってましたが、アミティエが目指すところもそういう形で?
松本:そうですね。
草木:海外に年1回連れて行って交流させるとか。意外と分かってそうで分かってへんものって多い。もっと早い段階で日本を外から見る必要はあるやろうね。
――もっと本当は外との交流があるといいですね。
草木:関西国際大学を教えてた時、入試の時にアメリカ大統領を答えられなかった子が教員になったんよ。彼が3年の時にアジアの途上国へ行って、レポートで「貧しいけども、学校に通っている子の目の輝きに驚いた」と書いてた。「そこを見られるようになったんかお前」と(笑)。
そこやと思うんやね。貧しくても目がギラギラしてるとか。そういう子たちを日本は作らなあかんよね。目が死んでるよね。
――アミティエの子はそうじゃないでしょう?(笑)
松本:そうです!輝いてます(笑)。
草木:僕も選手の目を見るもんね。「こいつ変わってきたな」とか「ボケとんな」とか。なんか感じる。「やりそうやな」とか。その旬を過ぎると普通の目に戻ってしまうけどね。そこでアクションを起こしてやらないと。
――学校の施設が充実しているというのは、他国から見ると羨ましいという話もありますね。
草木:ルールが多すぎんねん。教育委員会がうるさいから。「怪我をしたらどうすんねん、校長」と。公務員ってそうやん。定年までやって退職金貰って辞めますよと。新しいことは始めへん。ただ、各家庭も悪いと思うねん。家でやらなあかんものを学校に求めて、できんかったら文句を言うと。
――学校では体罰の問題も相次いでいますが。
草木:度を越したらあかん。怒ることと叱ることが混同されとる部分はあるよね。高校の時、ハーフタイムに「草むらにこい」って言われると「ああ、これシバカれるな」と。案の定そうなる(笑)。
古い人はこれをすることで「なにくそ」と思ってほしいと考えてそうするんやけど、今の子はそう思わへんのよ。そこが感覚のズレなんちゃうかな。ただ、「なにくそ」と思うのは大事やと思うよ。