■スタイルの継続を求む

24試合を終了し、6勝8分10敗の18位。J1含め日本屈指のパスワークを誇りながら、順位には結びつかないジレンマが垣間見える。

とはいえ、その独自色は称賛に値する。例えば、最終ラインの構成。センターバックの田森、ヘニキ、青木は元々ボランチの選手だ。右サイドバックの野澤も同様にボランチ出身で、かつて“トーキョーのグアルディオラ”と形容された技巧派である。

もっとも、近年ではボランチの選手をサイドバックで起用する例が増えている。山本真希、茨田陽生やセバスティアン・ルディ、ヨシュア・キミッヒといったプレーヤーが新境地を開拓しており、伸び悩みの感があった野澤にとっては渡りに船だったかもしれない。

上記のコンバートは、守備を考えればマイナスだ。本職のセンターバックやサイドバックを最終ラインに配した方が安定するに違いない。田森、野澤らの起用は、安定感には目をつむり、何よりもビルドアップを重視している表れだ。そして、野澤のポテンシャルを引き出すという意味でも、興味深い采配である。

そうは言っても、守備の安定感のなさが上位進出の足かせになっている。38失点はリーグワースト4位タイの成績で、リーグ9位の得点力(33得点)が順位に結びついていない最大の要因となっている。一瞬のスキが失点につながるケースが散見されるが、今後も攻撃マインドを貫いて欲しいと切に願う。

ボール支配率の高さをシュートひいてはゴールにつなげるのはもちろん、ボランチ出身のCBが多いだけに3バックの採用で守備を改善するのもアリだ。

いずれにせよ、「攻撃は最大の防御」という理想を体現し、サッカーフリークを楽しませて欲しい。J1以上にリアリズムが重視されるJ2では、その理想を追求するだけでも大きな価値があるのだから。

2017/07/23 written by ロッシ


筆者名:ロッシ

プロフィール: 1992年生まれ。1998年フランスW杯がきっかけでサッカーの虜となる。筆者の性格は堅実で真面目なため、ハビエル・サネッティ、長谷部誠、ダニエレ・ボネーラ、アルバロ・アルベロア、マッティア・カッサーニにシンパシーを感じている。ご意見・ご感想などありましたら、ツイッターアカウントまでお寄せください。

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