難民を歓迎したサッカー界
当時を思い出してほしい。欧州の各チーム、あるいはスター選手がこぞって、難民へのサポートの意志を示したことを。
とりわけ戦後、ナチス・ドイツの「反省」から外国人への寛容な姿勢を掲げてきたドイツでは、ブンデスリーガの各クラブが難民歓迎のスクラムを組んだ。メディアもそれを美談として取り上げ、『ビルト』などはこの輪に加わらないチームを非難したほどだ。
だが、その後、治安の悪化が深刻化し、その問題が(全てではないにせよ)難民の受け入れにあることを認めざるを得ないなかで、誰もそのことについて触れなくなった。
そう、サッカー界は間接的にとはいえ、現在の状況が生まれることを確かに支援したのである。しかし、それに対する反省の弁を、私はこれまで聞いたことがない。むしろ、事件が起きるたびに彼らは「テロに屈しない」という毅然とした声明を出し、メディアもメディアで再びそれを美談として消費している有り様である。
もちろん、声明自体が悪いとは言わない。また、選手たちにその責任を問うのは酷だろう。だが、協会やクラブ、われわれメディアも含め、この問題が起こることに加担した身として、先に成すべきことがあるのではないか。