ライアン・メイソン
「ハル・シティのドクターのマーク・ウォーラーが来て、頭蓋骨が折れていることを知った。顔面の右半分が麻痺していたからね。
ただ、僕は恵まれていたよ。スタンフォード・ブリッジの近くには、30分以内に到着できる病院が3~4もある。
ドクターは直ぐに手術が必要だと分かっていたから、そのままセント・メアリー病院に送った。
その判断が決定的だったんだ。61分後には手術が行われた。脳の出血は止められ、深刻なダメージを受けるまでには至らなかった。それが、上手く回復できた理由だと思うよ。
救急車では変な経験をしたんだ。とても落ち着いていて、覚えているのは妻のレイチェルが犬を連れて丘を走っているイメージなんだ。小さな男の子と、女の子と一緒に。
思い返せば奇妙だね。彼女は妊娠6ヶ月だ。イメージでは女の子のほうが大きかったから、多分女の子だな!」
(自分が怪我をした時の映像は見た?)
「見ていないよ。なぜそれを見なきゃいけない?
最初の6~7週間は、エネルギーを失っていた。テレビも見られなかったよ。ノイズが多すぎてね。
ハル・シティのサンダーランド戦を見た。オレンジ色の耳栓を付けながらね。今は問題ないけど」
(脳の状態は?)
「上手く行っているよ。ギャリー・ケイヒルについては何もない。サッカーではこのようなことが起こるものだ。事故だよ。
何らかの保護具を着けてプレーすることになるだろうね。馬鹿にはなりたくないが、いつもヘディングを恐れない選手でありたい。
最高のシーズンはまだ来ていないと思う。トッテナム時代を知っている人は、僕が遅咲きであることも分かっている。まだ10年はあると思うよ。
最終章を待ちわびている。ピッチに戻るときをね。ベッドに入る時に思うんだ。ピッチに出ることを。そして、子供の頃から夢見たイングランド代表でのプレーをね」
走馬灯を見た…メイソン、頭蓋骨骨折からの過酷な8ヶ月を激白
Text by 石井彰(編集部)
カズに憧れて全身赤のスーツを買ったことで校内一の人気者になったが、中身が伴わず一発屋で終わったというエピソードを持つ島根県出身のエディター。その影響か赤いチームを好み、ヴァランシエンヌ、レイションエス、ノッティンガム・フォレストなどを応援している。
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