蹴らない、レナチーニョ

前述のように、非常に多くのサポーターが詰めかける中で行なわれた第一試合は、コバルトーレ女川とVONDS市原の対戦。

まだ誰も90分で勝ち切っていないため、勝ち点3を獲得すればJFL昇格に向けて大きな一歩になる。

いやが応でもプレッシャーがかかるなかで、「いつものサッカー」にこだわってきたのが女川である。

スペースを相互利用しながらショートパスで前へ進行していく、まさに「崩し」と言える攻撃が威力を発揮し、攻め込んでいく。

市原は第1日と同じく最初は「受け」に回る姿勢を見せ、最前線に待つレナチーニョと峯を使っていこうとする。

その中で、先制点を決めたのは押し込んでいた女川だ。21分に池田が美しいロングシュートを放ち、クロスバーに当たってゴールに吸い込まれていった。

しかし、この得点が試合の展開を変えていく。

女川はパスワークが武器だが、いわゆる司令塔的な存在はない。ポジショニングこそが司令塔という感じだ。

ボールを奪った瞬間にパスコースがあれば、オートマティックとも言えるほど流れるように「出して動く」を繋げていくことができる。

だが、逆にボールを奪った瞬間にポジショニングが崩れていると、最初のリズムが出せずに手詰まりになりやすい。

リードしたことで僅かに消極的になったことで、市原は長めのボールで峯を走らせて女川のポジションを崩すとともに、裏を狙ってゴールに迫る。

そして37分に左サイドでフリーキックを奪うと、レナチーニョがこれを直接ゴールに決めて1-1!誰が触るかわからないような混戦状態で、キーパーが対応することが難しいキックだった。

振り出しに戻って迎えた後半は両者ともに一進一退。どちらもペースを握りきれず、勝負は3試合連続のPK戦に持ち込まれたのだった。

また、このPK戦がすごいことに…。

先攻の市原、後攻の女川ともに落ち着いたシュートを見せ、7人連続で成功。緊張感ある展開の中で、先に崩れたのが市原だった。

8人目のシュートはクロスバーに直撃し、枠を外れてしまう。リードを奪った女川は、しっかり右に決める!

これで2戦連続のPK勝利となった女川は勝ち点を4に伸ばす。一方、市原は2連続のPK負け。地元で厳しい結果を迎えてしまった格好だ。

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