最後に三つ目の魅力ですが、それは「選手の気持ちを近くで感じられること」です。

私が考える、スタジアムでのみ感じられる最大の魅力もこれです。

セレッソ大阪の試合を初めて生で観た時、 普段は優しくて穏やかな表情の選手が、 アップの段階で既に荒々しい“闘う男”の顔になっていて、そのギャップに驚かされたことを今でもはっきりと覚えています。

「選手たちの一戦にかける想いというのは、 私の想像とは次元が違う…」

そのエネルギーの強さは、私の予想を大きく上回るものでした。

そしてそれは、なにもピッチで戦っている二十二人の選手だけではありません。

自分の出番を今か今かと待つ選手の表情も熱いものがあります。 アップをしている選手たちの姿を見られるのも、スタジアム観戦ならではの魅力の一つです。

アップ中の選手たちの表情は、一見淡々と準備をしているように見えて、 その表情からは内に秘めた静かな闘志がうかがえます。

また、選手によっては、時々「自分を出してくれ!」と言わんばかりのアピールをする選手もいます。

チームスタッフから声がかかった後、 「自分が変えてやる」、「守り抜いてやる」とベンチに向かう姿。

そして、ビブスを脱ぐ瞬間は「とてもかっこいい」と個人的に感じる部分だったりします。その選手から見せてくる「自信」もまた、私を熱くさせてくれるポイントです。

そして、たとえ出場機会がなくても、 ベンチから必死に声を送る、控え選手たちの姿も忘れられません。

今季、セレッソ大阪の選手たちに取材をすると 「ベンチからうるさいくらいに声を出していた」とか 「ベンチメンバーが自分の名前を呼ぶ声がすごく聞こえてきた」と、試合後に話してくれる機会が非常に多いです。

セレッソ大阪はクラブ史上初となるタイトルを獲りましたが、その要因の一つとして、そういったところにもあるのではないかと感じています。