『スカパー!』が変えた“常識”

『スカパー!』がCLの放送を開始したのは2003-04シーズンのこと。

2002年ワールドカップの全試合を生中継し注目を集めた同局が、サッカーコンテンツの充実を図り放映権を獲得した。

当初ファンを驚かせたのは、ほとんどの試合が生中継だったということだ。

サッカー中継において今でこそ生中継は当たり前だが、ほんの少し前まで「見たい試合がLIVEで見られない」という時代が確かにあった。

それまでCLの放映権を持っていた『WOWOW』はチャンネル数が限られており、最大でも各節4試合の生中継がやっと。マイナーチーム同士の試合は録画放送すらなく、視聴者のもとに届けられたゲームはほんの一部であった。

そうした常識を『スカパー!』が変えた。

CLではグループステージで毎節16試合が行われるが、8試合以上が生中継となり、LIVE配信がなかったカードもキックオフから24時間以内に録画放送があった。

決勝トーナメント以降の29試合は全てが生中継であり、これにより「見たい試合が見られない」という問題点が改善されたどころか、その気になれば全125試合を完全視聴することだって可能になったのだ。

「世界最大級の生中継をお届けします! 『スカパー!』のチャンピオンズリーグ」

これは、『スカパー!』がCL放送を始めた頃によく使っていたスローガンだ。

ネット配信が主流になった現在ではなかなかその衝撃が伝わりづらいかもしれないが、当時これだけの規模で生中継を行っていたというのは世界的に見てもレアケースであったというのは強調しておきたいポイントだ。

もしも『スカパー!』が放送していなければ、2004-05シーズンのオリンピアコス戦でスティーヴン・ジェラードが決めた鳥肌モノのミドルシュートは日本で見られなかったかもしれない。

あるいは、セルティックの中村俊輔が華麗なフリーキックを決めた2006-07シーズンのマンチェスター・ユナイテッド戦は録画放送になっていたかもしれない。

「見たい試合の生中継をテレビで見られる」というのは決して当たり前ではない。

圧倒的なチャンネル数を誇るCS放送だからこそそれだけのカバーリングを可能にしたのであり、そうしたサービスを享受することができる幸せを『スカパー!』は私たちに教えてくれた。