「全試合放送」が教えてくれたもの
CLが世界中の人々を惹きつける理由は、なんと言っても「世界最高」と言われる競技レベルだ。
ヨーロッパを代表するビッグクラブ同士が激突するため、プレーの質の高さはワールドカップを凌ぐとさえ言われている。
しかし、CLの魅力はそれだけではない。日本ではまず見ることができない中堅、マイナーチームについて知ることができる貴重な場でもあった。
個人的に印象に残っているのは、2011-12シーズンにおけるヴィクトリア・プルゼニの戦いぶりだ。
チェコのプルゼニは前年に国内リーグを制し、この年、予備予選2回戦から勝ち上がってクラブ史上初めて本戦に出場。しかしグループステージではバルセロナ、ミラン、BATEボリソフと同じグループに入り、第5節を終えすでに決勝ラウンド進出の夢が潰えていた。
最終節の相手は、すでに勝ち抜けを決めていたミラン。
ミランにとっては完全なる消化試合だったが、プルゼニとしては初のCLで世界的名門をホームに迎えるという記念すべき一戦だ。そうしたモチベーションの差が結果にも出た。
パト、ロビーニョというスター選手にゴールを奪われ2点のリードを許したプルゼニだったが、89分、90+3分にそれぞれゴールを奪い、土壇場で追いついて見せた。
試合後、スタジアムはお祭り騒ぎとなり、まるで優勝を決めたかのように選手とファンが一緒になって喜んでいた。プルゼニにとっては、このゲームは意地とプライドをかけた一戦だったのだ。
他にも挙げればキリがないが、大統領も観戦に訪れたAPOEL(キプロス)の躍進や最強バルサを破ったルビン・カザン(ロシア)の大金星も記憶に新しい。
【#UCL名勝負クラシック】 2/5(月)後11:00
09/10 GS第3節 バルセロナvルビン
ルビンが前年王者バルサ相手にジャイアントキリング!!#スカサカ pic.twitter.com/T4TvolecIh
— スカパー! (@skyperfectv) 2018年2月4日
また、ヴェルダー・ブレーメンやリヨン、ボルドー、コペンハーゲンといった中堅が世界最高峰のステージで奮闘する姿は胸を熱くさせた。
2013年にバーゼルで見ていた無名のエジプト人が、今や世界有数のアタッカーに成長し決勝出場を控えているというのも感慨深い。
名門クラブや一流選手ばかりがフォーカスされるCLだが、『スカパー!』が全試合を放送してくれたことで、私はサッカーの新しい魅力や楽しみ方に気付くことができた。
※写真はアウェイでのミラン戦のもの