西野朗(日本代表監督)
(ベルギー戦の直後に「何が足りないんでしょうね」と仰った。それが何かはわかりましたか?そして今回の経験を踏まえてサッカー協会に伝えたいことは?)
「あの言葉を発するまで少し時間を頂いたかと思います。
ゲームが日本にとって好転していく中で、あのシナリオは考えられない状況でした。あの30分間で判断できるスピード感が自分には全くありませんでした。まさかああいう状況になるとは考えられなかった。自信を持っていましたし、3点目を取れるチャンスもありました。
しかし、やはり紙一重なところで流れが変わってしまう。私だけではなく選手もまさかの30分だったと思います。それに対して、選手がというよりは、『何が足りないか』というのは私自身で自問していたことです。
こういうときにどういう感覚が働けばいいのか。グループステージの3試合目の10分でもありました。チームが一つになっていく方向性を生かせるタイミングは瞬間なので、それがベルギー戦の残り時間ではできなかった。そこについて何が足りないんだろうという思いです。
これからは、A代表が一朝一夕に爆発的に成長していくということはないと思います。
日本のアンダーのカテゴリは本当に期待できます。U-20、U-17。彼らは世界で渡り合える力があります。そういう育成に対して協会が働きかけてきた状態だと思います。
単純に4年後のカタールにと漠然と言っているわけではなく、着実に底上げができています。A代表が入れ替わる可能性もあると感じていますし、スケールが大きく、ダイナミックで、かつ日本人らしいボールを使ったサッカーができる。育成に対してさらに力をかけていくということをしないと、A代表だけという訳にはいかないと思います。
海外組と国内組、それが融合していかなければならないという難しさがあります。シーズンが違うからです。9~11月のA代表の活動が毎年強化にならないくらいの状況があります。
個は成長していくとしてもチームとして、各カテゴリでの融合をどうするか。改善は難しいが考える必要があると思います」
日本代表帰国会見、全文書き起こし(その2)『長谷部を超えるリーダーが必要』
Text by 石井彰(編集部)
カズに憧れて全身赤のスーツを買ったことで校内一の人気者になったが、中身が伴わず一発屋で終わったというエピソードを持つ島根県出身のエディター。その影響か赤いチームを好み、ヴァランシエンヌ、レイションエス、ノッティンガム・フォレストなどを応援している。
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