江坂任
柏レイソル
MF
26歳
175cm/67kg
柏レイソルのチーム状況は一部サポーターが「救いようがないほど深刻」と悲観的に語るほど散々なものである。しかし、このところの話で言えば、決して試合内容は悪いものだとは言えず、「ゴールも奪えているが勝ち点を落とす」という何とも煮え切れない日々を過ごしている。
しかし、そのようなチーム状況の中で今季存在感を放っている一人が江坂任である。
ここまでチームトップの8ゴールをマークして、既に大宮アルディージャ時代の2016シーズンに記録したゴール数に到達。アシストも4つ上げており、文字通り、攻撃の中心として重要な役割を担っている。
彼の最大の武器はその得点能力の高さで、左右両足を自在にこなす正確なシュート、そして空中戦の強さを活かして味方のクロスボールに合わせる形も持っている。GKとの一対一では相手の挙動を最後まで見極められる冷静さも光り、ゴールポストやバーに嫌われることがなければ、自身が「マストの目標」と語る二桁得点は容易に到達していただろう。
また、ゴールゲッターとしての能力はさることながら「起点となる技術」も触れなくてはならない長所である。決して体のサイズは大きくはないが、状況把握の巧さとポストプレーの安定感があり、DFとMFのライン間に絶妙のタイミングで顔を出してのボールキープは柏レイソルの中でも戦術の核となっている。
無論、「日本代表入り」という観点で見れば、現状ではその可能性は決して高いものではない。特に彼が勝負しなくてはならない1.5列目は、決して一筋縄では割り込めない狭き門であるためだ。
しかし、最前線や本職のトップ下だけではなく中盤のサイドでの起用も応えることができ、さらに「活かす側」と「活かされる側」の両方で貢献できる彼のようなタイプが面白い存在であることは事実である。
さらなる成長が必要であることは間違いないが、前田直輝(名古屋グランパスエイト)らと共に代表入りを狙えるポテンシャルを秘めている一人であると筆者は見ている。