「モンゴルのルカク」を警戒せよ

ーー日本代表との試合について聞いていきたいのですが、モンゴルで一番有名なサッカー選手、あるいは日本が警戒しなければならない選手はいますか?

有名な選手かは分かりませんが、個人的に現モンゴル代表で一番良い選手だと思うのは10番のMFツンデ(ツェンドアユシュ・フレルバートル)選手ですね。

ポジション的に私と同じボランチで、足元の技術があってボールをさばける。ゲームメイクしながら守備もできる。対戦する際はマッチアップする機会が多いのですが、相手にしていて嫌な選手です。

ーー青森山田での後輩である柴崎岳選手みたいな感じですかね?

代表では4-3-3の中盤底に入る選手なので、柴崎選手よりはもっと守備的でガツガツしてますね。

あと11番のFWナランボルド・ニャムオソル。彼は長身でフィジカルが強く、スピードも備えたストライカーで、外国人に混ざって毎年リーグ得点王を争っているような選手です。

分かりやすくいうと、ベルギー代表のロメル・ルカク選手のような感じですね。

チームメイトであるモンゴル代表の12番バルジンニャム・バトボルド(左)と大津選手(右)

ーールカク…こうして聞いているとなかなか手強いなって感じるのですが、今のモンゴル代表は日本代表に勝つことができると思いますか?

モンゴル代表に限らず、W杯予選・同グループの全ての国が日本代表に勝つ可能性はあると思います。サッカーに絶対は無いので。

ただ、日本と戦うとなれば現実的にはボールを支配される。守備的に戦うことになると思いますが、このチームにはトゥルバト・ダギナーというDFを統率できる選手がいて、彼を中心に守ってカウンターからナランボルド選手で一発を狙う感じになるのではないかと。

心情的にはもちろん日本代表には勝ってほしいんですが、モンゴル代表には一緒にプレーしている仲間がたくさんいます。

彼らとは街中で普通に会ったりもするので、頑張ってほしいですね。特に点取ってほしいって気持ちがあって、取るならナランボルドではないかと思ってます。

ーー最後に大津選手のこともおうかがいしたいのですが、今後もモンゴルでプレーし続ける予定ですか?

私は選手として「国際大会出場」を目標にしています。

そのなかで、出場するまでの過程を「蹴球サロン」というオンラインサロン内で共有しており、ブログ等でも海外サッカーについて発信しています。なので、目標を達成できる可能性があればすぐにでも他に移るつもりです。

ただ、モンゴルでいろいろお世話になっている方がいてサッカーイベントをしたりもしているのですが、そうしたなかで見えてきたことがあります。

それはサッカーではなく環境の問題なんですが、サッカーを通じて国を良くできればいいなと思うようになりました。現役中でもできることはやっていきたいですね。

また、私は日本でプロになれなかったのですが、諦めきれずに世界へと飛び出しました。メディアではほとんど取り上げられず、環境も良いとは決していえないのですが、こうしてサッカーができる環境はあるし、好きなサッカーで生きています。

ですから日本の皆さんには、いろんな道がある、いろんな生き方があるってことを伝えたい。そういう選手が世界にいることを知るのは、日本のサッカー界にとっても大きいと思うんです。

そして今回は、モンゴルにもプロのサッカーリーグがあり、その国の人たちの想いを背負って戦う代表選手たちの頑張りを、結果に関係なくしっかりと見てあげて欲しいと思います。

大津 一貴

青森山田高校、関東学院大学でプレーした後、ケガの影響で一度はサッカー選手を引退してサラリーマンに。しかし22歳で癌を発症。一命は取り留めたものの、後悔したくないとの想いでサッカー選手に復帰する。

そして社会人でのプレーを経て海外へ飛び出し、2015年、モンゴルで念願のプロサッカー選手になった。その後ニュージーランド、タイと渡り、昨年から再びモンゴル1部リーグのFCウランバートルでプレーしている。

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