みんなの心の拠り所、モデルは里山
――そんなみなさんの想いが詰まったスタジアムですが、岡田さんも2022年に新たなスタジアムをという目標を掲げてらっしゃいますよね。
中島:夢スタはJ2、J1の施設基準は満たしていません。ではJ2、J1はどこで戦うのかとなった時に、ここを拡張するか新設するしかありません。
拡張については、これ以上山を削るのは難しいです。J2・J1仕様のスタジアムを他の場所に建てる必要があります。
その時期がいつなのかはこれからの私たちの努力次第だと思っています。私たちとしては、チームの昇格に合わせて、J2・J1対応のスタジアムで戦いたいという想いがあります。
ただ先ほども話しましたが、私たちサッカースタジアムを建てたいというよりは、みなさんにとって心の繋がりになる場所、拠点、居場所を作りたいと思っています。
毎日そこに人がきて、「あ、自分が今治に住んでいてよかったな」「5年前に何もなかったのに、自分が東京に出て働いて帰ってきたら今治がなんだかすごい居心地よくなってるな」とか「県外からでも家族みんなで遊びに行きたいな」など、みんなの心の拠り所になる居場所を作りたいです。
宮崎:それがFC今治の目指す場所ということですよね?
中島:物の豊かさより心の豊かさを大切にする社会作りに貢献する。これを「サッカースタジアムです」って言ってしまうと、もうサッカーしかできないですよね。
この地域、人の心を動かすためにはどういう場所が必要かと考えた時に、サッカーだけじゃない楽しみが、ハードもソフトも詰まっている場所じゃないといけなくて。
変な言い方ですけど、スタジアムだけでなく全ての建設物は建てた瞬間から朽ち果てていく。何十年かかけて減価償却が終わって建て替えます…とかそういう話ではなく、建てた瞬間から、人のライフステージと同じようにスタジアムも成長していける。
懐かしき日本の、昔ながらのモノを大事にしながら成長していくような、そういう場所。私たちは「里山、里山」と言ってるんですけど、里山みたいな場所を作っていきたいんです。
その里山に行くと、子供が遊べるところや自然教室をやっていて、また別のところにいけばワンちゃんを散歩しながらコーヒーでも飲めるところがあり、瀬戸内海の景色を眺めながら地元で作ったクラフトビールを飲める場所があるとか。
そしてふと、みんなが真ん中を見ると、日曜日の13時とか19時にここでサッカーの試合が行われている。選手のユニフォームには今治と文字が刻まれている。「だったらちょっと見ていこうか」というくらいの場所を作りたいと思っています。