中島:私たちは満員のスタジアムがスタートラインだと思っています。ゴールではなくて。
スタジアムが満員になるからチケットがプラチナになる。すると一度でいいから、子供と一緒にプラチナチケットを持って地元のサッカーチームを応援してみたいと思う人が出てくる。
それが5,000人のスタジアムに、300人しか入らない試合だったら(極端にいえば)価値がない。その300人の方にとっては価値があるかもしれないけど、みんなに応援してもらおうと思うと、スタジアムにいきたいと思ってもらえる場所にする必要がある。
そうすると満員にしないといけない。チケットがプラチナ化してみんなが見たいと思うから、スタジアムには行けないけどテレビで見るという人が出てくる。
テレビで見る人が増えるからテレビ局は放映権を払ってでも放送したいとなり、多くの人が見るからメディアが報道する。それで広告価値が上がって企業が協賛をしてくれる、チケットの価値が上がって、あそこに行きたいと集まってくる。会場ではグッズやグルメがどんどん売れていく。
そのスタートラインに立つためには、何が何でも満員にしないと。スタートラインに立たないと話にならないという考えを持っています。
――全てスタジアムが軸になっているんですね。
中島:それがど真ん中ですね。だから私たちは2017年9月10日、こけらおとしの試合になんとしてでも5,000人を集めなければならなかった。それこそ死ぬ気で集めるぞと(笑)。
最後は岡田さんがグーグルマップで老人ホームを検索して、「FC今治オーナーの岡田です」って突然電話したりしていましたから(笑)。
その結果、ありがたいことに最終的には5241人のお客さんに足を運んで頂くことができました。
私たちが掲げたスタジアムビジョンに基づいて1日をデザインし、夢スタで楽しく過ごしてもらう。それが2017年9月10日でした。そこが原点なのかなと。
今でも、目指しているところは変わらないです。Jリーグでは、スタジアムの収容数の80%以上が埋まっている状態を満員と定義されています。私たちは常に4,000名以上の方に夢スタに足を運んで頂ける場を目指して毎日働いています。
地域都市の人口減少、これはどうあがいても避けられない日本全体の問題です。私たちがこの地方都市で“地域密着”とどれだけ良いことをいっても何も変わらないんです。