――スポーツの文化が根付いていないと、勝ち負けしか見えなかったりするものですが、最初の段階でそこが楽しめてるのはいいですね。これも今治さんの企業理念が浸透しているのではないでしょうか。

青木:岡田さんのフットボールパーク構想が「勝っても負けても楽しんでもらえる」というスタンスなので、僕たちもその方向で取り組んでいます。

トップパートナーのデロイトトーマツコンサルティング合同会社様に実施いただいたアンケートによると、試合前後の満足度が高くて、逆にちょっと試合が落ち込んでいるというか、「まだ伸びしろがある」みたいな結果が出ているんですよ。

――あとはより結果が付いてくれば…という感じでしょうか。

青木:サッカーを見にくるわけですからね。昨日は雨の中で、ああいう試合(後半ATに決勝ゴールを奪われ0-1で敗戦)になっちゃうと正直、辛い部分はありますね。

台風のなか約1700人の方が来てくれて、一進一退の攻防の中、最後にやられると「うわーっ」てなりますが、こればっかりは勝負事ですから。

宮崎:これもたぶん、お客さんも一緒に成長していく過程なんでしょうね。こういう負け方もあるし逆に勝ち方もある。そこを越えていくと、ほんとに“コアサポーター化”していくのかなと。過酷ですけどね、この体験って(笑)。

青木:そうですね。今は一番、そこが課題というか。試合の内容とか結果は僕たちスタッフが変えることはできないので。

でも結果には影響を与えることができなくても、試合中に楽しんでもらう取り組みはまだまだできると思います。一体感のある応援とか、負けたけど応援が楽しかったねって帰ってもらえたらまた来てくれるかなと。そこをなんとか、先ほどのFC今治らしい応援というか、一体感を作れたらと思うんですけど、そこはこれからサポーターの皆さんとも一緒になって時間をかけて築けていけたらと思います。

宮崎:でもチームが一緒に模索するって面白いですね。

矢野社長とのお話の中にもありましたが、Jリーグだとクラブとサポーターの距離がほぼ定まっていて、応援も完成されている。特に熟成しているクラブはその線が強いので、一線を引かざるを得ない。そういうところは今しかできないのかなと。

試合の雰囲気を見ていて、あのコールの内容だったら“爆心地”じゃないところでも同じようにやると思うんですよ。「声を出せ」というタイプじゃなくて、盆踊りっぽい、お祭りに近いというか。

――極端にいえば360度ワーっていう感じでもアリかもしれませんね。

青木:そうですね。それこそバスケットボールのBリーグみたいな感じで。Bリーグは音楽も流せるしDJも入れられるからできているとは思うんですけど、ああいう感じのほうが今治には合っているかもしれません。