国際化=“ドキドキ”と“ワクワク”
――クラブのモットーとして掲げる『徹頭徹尾国際化を意識したサッカークラブ』とは、具体的にどういうことでしょうか?
言葉にすると安っぽくも聞こえてしまうので気を付けなくてはいけないのですが、チャレンジや挑戦するマインドを大切にするコミュニティにしたい、それを体現するチーム、クラブでありたい、と思っています。
僕は「失敗」と「成功」を“ドキドキ”と“ワクワク”という言い方をしています。成功したいんだけどリスクはゼロではない。もちろん誰しも人間なので失敗はしたくない。
でも、その“ドキドキ”、失敗の可能性があるがゆえにチャレンジ、挑戦をしない。その上、失敗した人を叩く文化、出る杭は打たれるみたいなのが日本はどうも蔓延しているなぁと思っていて。
僕が普段いる世界では、出てからが勝負、杭はそもそも出ているものなんです(笑)。
以前、面白いことを言っていた仲間がいました。出る杭は打たれるかもしれないけど、出すぎた杭は打たれない、と。叩かれるからチャレンジしない。でもチャレンジをしなかったら、買わなければ当たらない宝くじと同じで成功もないんですよね。
日本でもチャレンジする人を紹介したテレビ番組などは人気じゃないですか。自分の友達がチャレンジしていたら応援する人も多いと思います。
であれば、「失敗を恐れず、チャレンジするのを厭わない」という人がもっとたくさん増えてほしい。そんな世の中になってきたら、日本はすごく面白くなるんじゃないかと僕は思っています。
そんなリスクを省みずに挑むことを支えてくれるのは自分の周りにいて応援してくれる仲間だったりするので、「チャレンジすることを称え合うコミュニティ」を作れたらいいなと。
鎌倉インテルそのものだって、僕自身、最大のチャレンジだと思っています。どうせできないっこないみたいな話を、どうやって実現していくか。「これができたら何だってできるよ」とうちの選手にも言っています。
限界を越えて、安住の地を飛び出したところ、つまり新たなチャレンジの先に、新しい成功や付加価値が待っている。インターナショナルFCという名前や、徹頭徹尾国際化、というのはそういう意味合いで付けられています。
僕が従事しているグローバル人材育成のプログラムでは、世界で活躍するための「グローバルマインドセット」として7つの要素(※下記)を定義しています。鎌倉インテルを取り巻くコミュニティではこの要素を大切にしていきたいと思っています。
- 主体性
- 突破力、実行力
- 非言語コミュニケーション力
- パッション
- 状況対応力
- メンタルタフネス
- どこでもやっていける自信
言葉で言うのは簡単ですが、これをサッカーで表現するというのがどういうことなのか、今年1年かけて開発しようと思っています。
クラブの出発点がこういったところにあるクラブもあって良いと思うんです。大上段に普遍的なビジョンがあって、なりたい像があり、サッカーの競技面に結びつくのはその次あたりで。
僕は、三菱養和SCのOBにお会いする機会が結構あるのですが、皆さんかなりしっかりとされていてすごく尊敬できる方が多いんです。ひも解いていくと、母体となっている三菱グループの存在が大きいんじゃないかと。
大きなビジョンがあり、クラブがきちんとした人間教育をされているのではないでしょうか。ああいった形も一つのモデルかなと思っています。