――Jリーグを目指すクラブは全国にたくさんある上、神奈川県にはすでに6つもJクラブがあります。今から上がっていくには他との差別化が非常に重要だと思いますが、鎌倉インテルが一番強調したい点はどこですか?
人間が立派になるというか、関わる人の可能性が広がるクラブ、ですかね。
インターナショナル、国際的なと言っていますが、いろんなことを始めてみると結局、“国際”とか“グローバル”は日本人がパッと苦手だと思うものの代表格なんです。
それは企業の人材育成をしていても一緒で、自分の中で不可能だと決めつけてしまっているストッパーのようなものを外せるようになるマインドの変化と、あとは人間ネットワークができる、スキルが身につくといったことじゃないかなと思います。
同じ価値観の人間関係は会った瞬間に「紹介しますよ!」みたいにどんどん世界が広がっていくことができますし、「あの人がやれているなら自分も!」と感じるようなマインドの変化のことかもしれない。
鎌倉インテルに入ると、たとえば世界的な繋がりができるかもしれないし、先輩たちがあれでやれているんだからとか、僕のことですが、あのオーナーの人、テニス部だけどサッカークラブを作っちゃったから自分も何でもできるかもしれないと感じるかもしれません(笑)。
できないと思っていたら絶対にできません。できると思って多分できないというのがほとんどですけど、やっぱりできると思わないことにはできないですから。「インターナショナル」という言葉には、一つの言葉である以上にそういうふうに感じています。
(クラブのフラッグを指差し)『FOOTBALL UNITES THE WORLD』は世界一蹴の旅をしていたときから使っていた言葉です。「フットボールが世界を繋ぐ」といった意味合いなんですが、このワールドには二つの意味があるかなと思っています。いわゆる日本だ海外だという世界。それともう一つは、社会みたいな意味合いです。
このクラブを作ったことで様々な人が繋がるようになりました。高校生とおじいちゃん、あるいは僕のようにシンガポールにいる人と鎌倉の人が繋がることもあります。こういったことが本当にたくさん起こるんです。
社会的にスポーツやサッカーはもっと価値があると認められて良いと思うのですが、そこの定量化した数字がなかなか世の中にはない。
これが社会的にどれだけ意義があるか、お金以外の価値が今後一つの指標として生まれてくるとまた違ったものになってくるはずです。ただその辺りは今のサッカー界が得意としていない分野なんじゃないかとも思っています。
環境とか社会に対し、スポーツクラブがこれだけ貢献していると数値化できれば、自治体や企業などもサポートがしやすくなります。そういったことに対して、僕たちがやれることの使命感はありますね。
スポーツやサッカーにはもっと価値があるんじゃないか―。少なくとも僕はサッカーで自分の世界が広がったと感じています。