――この場所にサッカー専用スタジアムが建てば“最高のスタジアム”になりますか?

羽生:サッカー専用スタジアムを作りたいんだと言うと、「それはサッカーをやっている人しか使えないでしょ?」と言われるんです。でも、日本中に立派な野球場はたくさんあるわけです。野球場は野球しかできないですよね?なぜ野球は良くてサッカーはダメなのかなとまあ思うんですけど。

あとは稼働率の問題。天然芝はあまり使うと痛んでしまうから少数の人しか使えないとよく言われるのですが、ぜひ365日使ってもへこたれない芝生の開発をどなたかやっていただけるとありがたいなと(笑)。何かないですかね。芝生をクルクルクルとロール状に畳んでしまっておけるとか。

――サッカースタジアムの近未来像、自身が一番見てみたいサッカー専用スタジアムはどういったものですか?

大金:エミレーツのような、ピッチとスタンド、選手とサポーターが近い位置であることがすごく大事かなと思います。

私たちは味の素スタジアムで試合を開催していますが、どうしてもサポーター・観客からピッチは遠いです。今は映像などでカバーしていますが、選手の声やボールを蹴る音が聞こえたりすることでやはり見ている人には臨場感を与えられますし、ワクワク感が募るスタジアムが素晴らしいんじゃないかなと思います。

――サッカースタジアムは今だけでなく、50年後、100年後の姿を想像することも重要だと思います。その点において“継続性のあるスタジアム”を作るためのキーワードは何でしょう?

羽生:やっと日本にもサステナビリティ(持続可能な)という言葉が世の中に出てきたと思うんですよね。ただ、ヴェンゲルさんのハイバリーに対する愛情のように、建築物に限らずずっと持続していくことの素晴らしさは日本人もよく知っていると思います。

もし渋谷にスタジアムができるとすれば、長年にわたって人々の思いが作っていくような、人々の思いがスタジアムを変化させていくような建築物であったら素晴らしいなと思いますね。

大金:365日、毎日使える、必要とされる、行くと何かがある。人生で何年か過ごした後に「あそこに戻ると何かがあるよね」というレガシーを感じられるようなスタジアムであることが今後は必要です。

まさに“生きたスタジアム”を作っていくことがすごく大事なんじゃないかなと思います。

両者ともにクラブの代表として言葉を選びながらだったが、「新スタジアム」への思いを熱く語っていた。

なお、渋谷未来デザインは、今週17日から21日にかけて東京ヴェルディとともに渋谷でイベントを開催する。

渋谷・代々木はもちろん、東京、さらには日本各地を舞台とした「新スタジアム」の動きについては今後もいろいろお伝えしていきたい。

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