「走る」がベースの横浜F・マリノス

一方、2019シーズンのJ1を制した横浜F・マリノスは、川崎とは対象的にリーグで一番走るチームだ。

両チームともボールを保持する攻撃的なフットボールを標榜しているが、技術がベースの川崎に対して横浜FMは走力がベースとなっている点が面白い。

今シーズンも4節終了時点で119.298kmはリーグ1位。各試合の走行距離は以下のようになっている。

■横浜FM 2020シーズン走行距離

1節 117.612km(vsG大阪/●0-1)

2節 122.517km(vs浦和/△0-0)

3節 122.663km(vs湘南/○3-2)

4節 114.399km(vsFC東京/●1-3)

横浜FMが3節の湘南ベルマーレ戦と2節の浦和レッズ戦で記録した走行距離は、J1第4節までの全試合・全チームにおけるトップ2。

特に湘南戦は、相手も121.867kmを記録する、総力戦ならぬ“走力戦”となった。

この試合で横浜FMは3-2の逆転勝利を収めたものの、チームの疲労度は大きかったはず。中3日で臨んだ直後のFC東京戦、先発7人を入れ替えた結果チーム全体としてプレーの精度を欠き、1-3の敗戦を喫したことはその影響があったことをうかがわせる。

精力的な補強により昨年に比べて選手層が厚くなったとはいえ、出場メンバーによるクオリティの差は現状否めない。未曽有の過密日程となる今季、横浜FMはターンオーバーをしながら試合ごとのパフォーマンスをいかに安定させていくかがリーグ連覇の鍵となることは間違いない。

アンジェ・ポステコグルー監督の横浜FMに関してはこんなデータもある。

横浜FMが昨季、「中4日以上」と「中3日以内」で臨んだ公式戦の成績はそれぞれ以下の通りだ。

■横浜FM 2019シーズン試合間隔

  • 中4日以上 20勝2分6敗(勝率71.4%)
  • 中3日以内 6勝4分5敗(勝率40%)

一目瞭然、ミッドウィークに試合を挟むと勝率が大きく下がってしまっていたのである。

「中3日以内」の試合はYBCルヴァンカップを戦っていたシーズン序盤が多く、まだチームの完成度が低かったが故と見ることもできる。

しかし、中盤戦以降に行われた天皇杯直後の3試合でも、7月3日のホーム大分戦が1-0(中2日)、8月17日のホームC大阪戦が1-2(中2日)、9月28日のアウェイ仙台戦が1-1(中2日)という成績。

仙台戦のあと、リーグ戦1本となってから7戦全勝で逆転優勝を果たしたことを考えても、現在の横浜FMは試合間隔に余裕があったほうが相手に対して優位に立ちやすいチームと言えるかもしれない。

走るポゼッションサッカーで連覇を目指す彼らにとって、過密日程はやはり気になるところだ。