ボクサーパンツにむりやり生理用品を付けて出場
――生まれた時の性別と性自認が違うトランスジェンダーである場合、「埋没」といってそれを隠す当事者が多いと言います。聖火ランナーで表に立つのは勇気がいる行動だったのではないでしょうか?
そうした当事者が多いことは知っていますが、30年間近く過ごした女性としての私が消える訳ではありません。私は逆に、155cmと小柄でFtMトランスジェンダーである自分の可能性を感じています。例えば、トランスジェンダーモデルや小さいサイズのファッションモデルとして、新しいジャンルを確立していきたいと。
それに、治療中も同窓会にも顔を出しましたね。もともと巨乳だったのですが、胸を摘出する手術日と同窓会が重なってしまい、胸から血を排出する管をぶら下げながら出席(笑)。周りもそれを見て「いよいよ、とったか」みたいなそんな感じです。
――サッカーで苦労したことはありましたか?
女子向けのサイズのアイテムがないことです。例えば、スパイク。靴のサイズが22cmなのですが、子供向けのスパイクしかない。ゴム底で、大人のプレーの強度に耐えられないんです。今は小さなサイズのスパイクもあるみたいなのでうらやましいですね。
あと、五輪でも問題になっている生理の問題があります。なってしまわないようにコントロールするということはなかったのですが、なってしまうと面倒くさいんですね。女性用のサニタリーショーツ履かないといけないので。それが嫌で、ボクサーパンツにむりやり生理用品を付けてみたり。結果、グランドにボトっと落ちたみたいな…。
――何か伝えたいメッセージはありますか?
当時の仲間たちやお世話になった人たちに今の自分の姿を見てもらいたいと思います。その姿を見て、同じ当事者の方々の勇気や自信に繋がると嬉しいです。
また、当事者じゃない方々にも、こういった人も身近にいるんだと知ってもらう事で理解が進めばいいなと思います。誰もが生きやすい優しい社会になる為に、これからもアクセル全開で進んでいきたいと思います!