明確な戦術コンセプトを持つ指揮官の手腕とは
粒ぞろいの選手たちを束ねるのが、今シーズンよりチームを率いる曺監督だ。湘南ベルマーレで確かな手腕を発揮してきたことで知られ、2018年シーズンには同クラブをルヴァンカップ制覇へと導いた。
曺監督と言えば、ハードワークを前面に押し出したスタイルが著名だが、京都でもその基本戦術に変わりはない。前線からの積極的なプレスで相手のビルドアップを寸断するのはもちろん、中盤でもハードなプレッシングでボールホルダーにプレッシャーをかけて自由を奪う。
守備時のコンセプトは不変だが、新天地で変化した点もある。着眼すべきは、採用するシステムだ。
湘南時代は3バックをメインとしてきたが、京都ではアンカーを置いた4-3-3を採用。また、ゴールキーパーを含めた最終ラインからのビルドアップを基本的な約束事とし、中央突破とサイドアタックを使い分けながら崩していくスタイルを構築中。より能動的に仕掛けるスタイルへと変貌を遂げているのだ。
スタイルを支えるキーマンたち
では、上記のスタイルを支えるキーマンは誰だろうか?まずは、守備の要として君臨するバイスだ。
V・ファーレン長崎、徳島ヴォルティスでのプレー経験を持つ背番号23は、ハードな対人守備に加えて足元の技術にも定評がある。特に高精度のロングフィードは一級品で、攻撃のアクセントになっている。
また、体を張ったディフェンスも売りで、第30節のモンテディオ山形戦では、見事なシュートブロックで決定機を防いでいる。機を見た攻撃参加も魅力的であり、攻守両面で頼れるファイターだ。
次は、アンカーの川﨑。センターバックからボールを引き出してシンプルなパスワークで捌き役となり、鋭いタックルでアタッカーの侵攻を防ぐのが主な役割だ。
しかし、思い切りの良い攻め上がりで一気に敵陣深くまで侵入してチャンスに絡み、多少遠めの位置からでもミドルシュートを狙っていくなど、こちらも攻守に輝きを放っている。
攻守に貢献できる万能性、そして意外性のある攻め上がりが武器ということで、タイプ的には日本代表の川辺駿(グラスホッパー)に近いだろうか。川﨑自身まだ20歳と非常に若く、年代別代表での活躍はもちろん、ゆくゆくはA代表での活躍にも期待できる。それだけの可能性を秘めた大器だと言えるだろう。