一世を風靡した「湘南スタイル」

ホッフェンハイムで観たものが「湘南の暴れん坊」というイメージとリンクした反町氏は、そのコンセプトを持ち込み、就任初年度にチームを11年ぶりとなるJ1昇格へ導いた。

反町氏は現在JFAの技術委員長を務めている

J1ではリスクの高いプレスを交わされ、無防備になった高いDFラインの背後を簡単に突かれて1年でJ2降格となったが、2012年からコーチの曺貴裁氏が後を継ぐことでスタイルは確実に積み上げられた。

曺体制でも就任初年度でJ1昇格を勝ち取るも、1年でJ2降格を経験した湘南。

しかし、2014年にはJ2記録となる勝点101を積み上げて優勝。翌年にはJ1で年間8位と大躍進。現在の日本代表の主軸を担う遠藤航(シュツットガルト)を筆頭に若手タレントが痛快なサッカーで鳴らす「湘南スタイル」が完成の域に達した。

面白いことに曺氏もオフシーズンにはよくドイツを訪れ、CS放送のサッカー番組のインタビュワーとしてRBライプツィヒのスポーツディレクターへと転身したラングニック氏を取材するなど、ドイツとの関わりは続き、湘南はブンデスリーガのチームのように見えた。

今や日本の頭脳となった遠藤航

その後、遠藤ら主力選手たちは軒並み強豪クラブに引き抜かれ、曺体制は2016年に再びJ2降格を経験したが、2017年にはJ2優勝で再昇格。

主力選手が引き抜かれ、戦力を入れ替えながらもブラッシュアップされていった湘南スタイルは2018年、YBCルヴァンカップ制覇で頂点を極めた。クラブ名が「湘南ベルマーレ」となった2000年以降では初のタイトル獲得だった。