ピッチに拡がった新布陣は、[2-5-4]だった。
「1人多いじゃん!タイプミスだろ?」などのツッコミがくるかもしれない。だが映像も原稿も見直したが間違いなく[2-5-4]だった。
明治安田生命J1リーグ第7節、サガン鳥栖はホームの駅前不動産スタジアムに開幕6戦連続引き分けのJリーグ記録を更新中の北海道コンサドーレ札幌を迎えた。
鳥栖は開幕6試合で1勝5分と無敗だったものの得点は僅かに3。
1試合平均のボール支配率ではJ1で4位となる54.6%を記録していたが、1試合平均のシュート数はリーグワーストの9.0本とこれが“貧打”の要因だった。
そんなチーム状況で今季から就任した40歳の青年指揮官・川井健太監督が編み出したのが冒頭に述べた新布陣である。
(画像は昨シーズンのもの)
この斬新な布陣で臨んだ試合で、鳥栖は驚きともいえる5-0の完勝を飾った。
続く第8節は昇格組の京都サンガを前に1-3と今季初黒星を喫したが、各メディアによる順位予想や戦力診断で降格候補に挙げられていただけにここまでの戦いは大健闘だろう。
昨季からDFエドゥアルド、大畑歩夢、MF小屋松知哉、仙頭啓矢、樋口雄太、FW酒井宣福、山下敬大など、主力の半数以上が流出しているのだから。
その大胆なサッカーに筆者は大きな発展性を感じている。今回のコラムではそんなサガン鳥栖、そして川井健太監督が繰り広げる異端戦術の“カラクリ”を紐解いていきたい。