ピッチ全体に拡がる緑の芝、ゴンさんの懸命さに感動

――ところで、サッカーやジュビロとの出会いはいつ頃なのでしょうか?

「僕は本格的にサッカーをプレーしたことがありません。中学と高校ではバスケットボールをしていました。初めてサッカーの試合を、そして、ジュビロの試合を現地観戦したのは、自分が通っていた中学校全体で遠足のように実施した一斉観戦でした。

その時にスタジアムの階段を登って、ピッチ全体に拡がる緑の芝を見た時の感動は今も忘れられません。自分の街にこんなにも凄い場所があるんだって思ったことを鮮明に記憶しています。

実は初観戦するまでは、サッカーってチャラいイメージがあって嫌いだったんです。でも、当時はFW中山雅史さん(現アスルクラロ沼津監督)がプレーされていて、ゴンさんが途中出場した時のスタジアム全体の熱気が凄かったんですよ。

揺れる感触?そして、ゴンさんが最後まで一生懸命にボールを追いかける姿を見て、『サッカー全然チャラくないよ、カッコイイぞ!』と、なりましたね。

ただ、僕がよく現地観戦するようになった頃のジュビロは、J2との入替戦にまわるなど低迷していて、なかなか勝ち試合にありつけませんでした。

名波浩さん(現日本代表コーチ)が現役を引退され、ゴンさんがチームを離れられて黄金時代の選手がいなくなりました。クラブの過渡期が僕のジュビロサポーターの原点です。

そして、FW前田遼一さん(現日本代表コーチ)が僕にとってのアイドルです。チームが決して強くはなかった時期に2度(2009、2010年)もJ1得点王を獲得したんですから」

――生粋のジュビロサポーターにとって、2014年の終盤に名波監督が誕生したのは嬉しかったのでは?

「ジュビロがJ2に降格した2014年、僕は大学進学で大阪に来ていたこともあり、一時的に熱が冷めてしまっていました。

でも、名波さんが監督に就任するニュースを聞いて、その熱を取り戻しました。特に2017年はJ1で6位。元日本代表MF中村俊輔さん(横浜FCコーチ)が加入し、近年最も盛り上がったシーズンでした。

ただ一転して翌年は低迷。16位でJ2との入替戦にまわることになりました。東京ヴェルディに勝利してJ1残留は出来たんですけど、翌年も続投された名波さんの表情が・・2019年は最初からしんどそうだったんです。結局、半シーズン指揮を執って退任されることになり、チームもJ2降格に至りました。

ジュビロにとっての名波さんはレジェンド中のレジェンド。僕の個人的な想いですが、今後も監督やフロントに戻って来てもらうためにも、名波さんには2018年限りで勇退してもらいたかったです」