神戸のバルサ化
神戸を語る上で「バルサ化」という言葉が独り歩きしている印象を受ける。スペインの世界的強豪であるバルセロナに所属していた選手たちを獲得して、ポゼッションフットボール(ボール保持率を高めるようにパスをつないで攻守一体のサッカーを展開する高等戦術)を神戸が志向していると報道各社、サッカーメディアが報じた。
元スペイン代表MFアンドレス・イニエスタを筆頭に同代表FWダビド・ビジャ、同代表FWボージャン・クルキッチ、ベルギー代表DFトーマス・ヴェルマーレン、MFセルジ・サンペールと元バルセロナ所属選手を次々と獲得した。
また2018年9月にバルサのポゼッションフットボールで一世風靡(いっせいふうび)したジョゼップ・グアルディオラ監督(現プレミアリーグ・マンチェスターシティ)が最も影響を受けたといわれるフアン・マヌエル・リージョ監督を招へいして、パスを基調としたサッカーを展開した。
ただこの路線はリージョ政権下では大きな結果をもたらすことができなかった。2019年シーズンJ1第7節を最後にスペイン人指揮官は、神戸との契約を解除して退団した。その後に就任した吉田孝行監督を経て、ドイツ人指揮官トルステン・フィンク監督がトップチームに就任。同シーズンの天皇杯を優勝してチームに初タイトルをもたらした。
それから時を経て昨季途中の吉田監督就任後から、縦に早いカウンターサッカーに戦術を転換してリーグ初優勝を果たしたわけだが、昨季や今季途中に当初目指していた「バルサ化」路線が失敗だったと烙印を押すメディアも存在した。ただこの失敗したといわれる路線は、レガシーという形で成果を残した。