「我々のスタイルで戦い、結果を残す」

最後に意地を見せたヴィアティン三重。今シーズン限りで退任が決定している樋口靖洋監督は、試合終了後の会見で以下のように話した。

――試合の統括は

今日の試合はホーム最終戦。残念ながら我々が昇格のようなものがかかった試合ではなかったのですが、2000人を超えるサポーターの皆さんに来ていただきました。

今季最後の試合を一緒に戦っていただけたことは本当に嬉しい思いですし、JFLでナンバーワンのファン・サポーターであるということを再認識しました。

試合は最初の15分、相手のアグレッシブにボールを前に入れてセットプレーを取ってくる戦い方に対して、残念ながら受けに回ってしまった。

ただ2失点した後は上手く耐えながら盛り返しました。前半は風下でもあったので、若干押されるのは覚悟の上でしたが、非常にきれいな形で1点を返せました。そしてチーム全体が『まだまだ下を向かずに行くぞ』という空気を作ってくれました。

後半は我々が風上になって、しっかりボールを動かすことができるようになり、相手の圧力を上手く分散させながらサッカーができたと思います。ゴールはPKでしたが、しっかりと決めて追いつけました。

交代選手は勝ち切る為に送り出しました。最後の試合はやっぱり勝とうという意識がありました。結果として3点目は取れませんでしたが、積み上げてきたものを選手が表現して諦めずに戦えたと思います。今日多くの皆さんの声援があって、それに背中を押されたことが大きかった。

相手のスタイルは関係ない。我々は我々のスタイルで戦い、そこで結果を残す。今日もそうして試合に臨みました。勝てはしませんでしたが、選手は最後までよくこだわってやってくれたと思います。

――指揮した2年間を統括すると

42年ぶりに故郷の三重に返ってきて、地元のクラブに関わることができた。この2年間は本当に充実していました。

なぜかといえば、選手たちが本当にサッカーと真摯に向き合ってくれているからです。

彼らは午前中にしっかり練習して、午後は仕事をに行く。夜まで働いていても、トレーニングに来る時には準備をしてきてくれる。

厳しかったかもしれませんが、僕が選手に求めたのは4つ。良いコンディション、高いモチベーション、高い集中力、そしてそれを維持すること。

これが揃っていれば、必ずいいトレーニングができる。

体が辛かろうが、職場でなにか嫌なことがあっても、彼女と喧嘩しても…いろんなことがあるかもしれないけど、ピッチに立ったらその4つの要素を持って欲しいと。

それを選手たちはやり切ってくれた。だから充実していた。本当に練習が楽しかったんですよ。「こんな反応をするんだ」「こんな手応えを感じさせてくれるんだ」と。

それを結果に結び付けることが僕の仕事だったんですが、できなかった。それは選手に申し訳ないし、サポーターにも申し訳ない。

ただ、本当に充実した2年間を過ごさせていただいたと思っています。感謝しています。