「自分のワガママな哲学が、甘さなのかもしれない」

――昨年は奈良クラブの昇格を目の当たりにしました。あの記憶があったからこその、今日の後半のプレーだったのかなと感じましたが…

それは確認はしていませんが(笑)去年奈良クラブとの試合が終わった時、みんな塞ぎ込んでいましたが、『奈良クラブの昇格セレモニーを見ておこう』と言いました。

みんなでその悔しさを感じることが、絶対に次へのバネになる。だからその光景を目に焼き付けて来季を戦おうと。そう話しました。

それが選手にどれだけ響いているのかは分からないですが、今日もシチュエーションとしては同じでしたね。こちらが負ければ、相手は上に行く可能性が生まれる。

去年からここにいる選手たちにはそのようなものがあったのかなと。そして意地を張ってくれた。それは本当に嬉しいですね。だからこそ、勝ちたかったですけども。

――Jリーグに近いクラブと言われながら上がれない年が続きます。プラスすべきものとは…

それが分かっていれば、今年昇格していたと思います(笑)。ただこのクラブが持っているポテンシャルは、JFLで一番だと思います。組織的なところ、そしてファン・サポーターの多さ、地域との一体感。間違いなくJ3のクラブよりも上回るところがあります。

ただ、それでなぜ結果が出ないのか。この2年間で感じたのは、僕がもうちょっと勝負にこだわらなければならないのかな…という部分です。

僕はスタイルを崩したくないんです。勝つために守備的にしたり、カウンターだけを狙ったりすることは。

そのほうが勝点は取れると思います。ブリオベッカ浦安さんが負けなくなったのはその部分ですし、レイラック滋賀さんも守ってファウルを取ってセットプレーが強みです。滋賀さんは総得点の半分以上がセットプレー。それは驚異的な数字なんです。

ただ、僕はそれはやりたくないんです。サッカーの醍醐味や面白さ、それを選手が感じなければいけない。プレーを楽しんで、見ている人が面白いと思ってもらいたい。

それを崩してまでサッカーはやりたくない…というのが僕の信念です。ただ、それがある意味甘さなのかもしれませんね。

昇格に届かなかった、勝ちきれない試合が多かった。すみません。僕のワガママな哲学、ワガママなフィロソフィーが、昇格できなかった要因の一つかもしれません。

ただ、これはチームに残したものとして、ぜひ財産にしていってほしいなと思います。