中東の雄イラク

イラクとの対戦成績は7勝3分2敗と日本が勝ち越しているが、イラクはアジアカップ2007年大会で初優勝を果たしたアジアの強豪だ。直近の対戦成績は2017年6月に1-1と引き分けており、簡単な相手ではない。イラク代表を目指す字羽井に日本と対戦するイラク代表について聞いた。

――イラク代表の特徴を教えてください。

特徴はイラクサッカー協会の会長が代わって、その(アドナン)会長が「昔のイラクの強いイメージを取り戻したい」とイラクのためを考えてすごく行動する人なんですよね。前までなら代表に選ばれる選手はイラク内でプレーしている選手がほとんどでした。例えばハーフの選手やイラク外でプレーしている選手を積極的に会長自ら声をかけにいったりしています。だからいまは半分以上がイラク外でプレーしている選手ですね。

――ヨーロッパとイラクにルーツがある方が増えてきていますね。

会長自ら「代表でプレーしないか?」と交渉しています。そこでなおかつイラクの国内リーグもラ・リーガと提携してかなりレベルが上がってきました。2026年ワールドカップに出るためにチーム作りをしているという段階ですね。

――日本戦ではどのようなサッカーを展開しそうですか。

多分引いて守ると思います。守ってカウンターが主な戦術なんじゃないかなと。いまイラク国内でもすごく日本戦は注目されています。自分もインタビューされたりしたんですけど、(日本は)ずっと注目されていますね。

日本にすごくリスペクトがある。(その中で)イラクは強豪国といわれているコロンビア、ロシアと練習試合をしました。そこで(使った)同じ戦術を(日本戦でも)使われると思う。そこでやったことは「しっかり守備をするカウンター」。イラク人も守備に対する球際は強いし、前線に速い選手もたくさんいる。カウンターをされたら厄介なんじゃないかと思いますね。

――イラク代表はアジアカップでどこまで行きそうと考えていますか。

監督がスペイン人(ヘスス・カサス)で、ルイス・エンリケの元アシスタント(2018-2022)をやられていた方です。この監督になってから勝負強くなったんですよね。勝負強くなったので、グループリーグを突破したらベスト8、4は行くんじゃないかなと思いますね。

イラク代表のヘスス・カサス監督

――アザウィさんから見てイラク人のメンタリティーを教えてください。

めっちゃ負けず嫌いです。負けず嫌いで自己主張が強くて、「全部自分が正しい」みたいな。そういう国民性なので討論とかもすごいんですよ。例えばなにか一つの物事に対して全員が「自分はこれが正しいと思う」という。それがなかなか負けなかったりする。

サッカーでもこんな感じですね。自分が自分がという。我が強いですけど、団結になるとちょっと崩れちゃうというか。日本人みたいなメンタリティーじゃなくて、(ミスをすれば)「お前のせいだろ、お前のせいだろ」みたいなメンタリティーですかね。

――引いて守るサッカーだと組織力が大事になってくると思います。

そうですね。それこそ1点取られるまで組織力はすごく高いです。みんな同じ方向を向いている。ただ1点取られたときは結構バラつきが出て、ボロが出るというか。こっちはこうしたいし、こっちはなすりつけてとかで崩壊していくイメージがあります。