欧州挑戦の活性化と国内サッカーの発展
前述したように各国は多重国籍選手の補強だけであぐらをかかず、国内サッカーのインフラ環境、育成年代の指導強化も積極的に力を入れてきた。その成果は出始めている。
今大会で韓国に2-2で引き分けたヨルダンはフランス1部モンペリエMFムーサ・アルタマリを輩出しており、バイエルンで活躍するDFキム・ミンジェ相手に優れた技術で渡り合うシーンを見せるなど、チームの核として躍動した。ヨルダンで生まれ育ったアルタマリはキプロス1部APOEL、ベルギー1部ルーヴェンで活躍してフランス1部にたどり着いた。同国のシンボルとしてヨルダン国民の人気が高い。
他にもインドネシアはベルギー2部デインズでプレーするFWマルセリーノ・フェルディナン、タイはルーヴェンFWスパナット・ムエンター、ウズベキスタンはフランス1部RCランスDFアブドゥコディル・フサノフと若手の欧州挑戦が増加しつつある。
他にもスロバキア1部ドゥナイスカー・ストレダMFのアマル・ラマダン(シリア)らが同大会で活躍するなど、国内からヒーローといえるような選手を欧州へ輩出している。
先日取材したフィリピン代表DF佐藤大介は「最終的な解決方法はその国のアカデミーから底上げをしなきゃいけないと思っています。そこがフィリピンにとって1番のチャレンジです。2030年ワールドカップを目指すことを考えたときにこういう解決方法はアリだと思いますけど、長い目で見たときに国内サッカーの発展がしっかりしないといけないと思います」と話すように、自国のサッカー環境を整備しなければ発展も成功もありえない。
足下を見て一歩、一歩着実に歩みを進めてきたからこそ、発展途上国は結果を出し始めている。