学生団体コンテストで優勝して賞金300万円獲得

東北大は偏差値62~72(学部別、東進ハイスクール偏差値)と日本国内でも屈指の受験難関校であり、サッカー部に所属する選手たちは激しい受験戦争を勝ち抜いた秀才が集まっている。昨年12月に開催された「部活・サークルをどう変革するか?」という問いを通じて、仲間と未来を本気で考える機会を育む、学生団体のチャレンジコンテスト『Re-Write』(主催・AYWD株式会社)に出場した同大サッカー部は優勝と賞金300万円を勝ち取った。

コンテストに出場して優勝した高橋昴大(左)と長谷川

ノースアジア大戦でゴールを挙げた長谷川はサッカー部のスポンサー班に所属しており、同コンテンスト優勝の立役者の一人だ。

長谷川は「サッカー部には班活動というものがありまして、用具班、スポンサー班だったりと班(チーム)が存在します。僕はそのスポンサー班に所属しています。スポンサー班は、自分たちの活動を応援してくれる企業さん、(サッカー部と)一緒に地域貢献していく企業さんを探しています。活動の一環として、先輩がツテで拾ってきてくれたコンテストに『応募してみないか』と言われてやってみました」とコンテスト応募の経緯を説明した。

約200団体が応募した1次選考を30団体が勝ち抜き、2次選考は10団体に絞られた。勝ち残った10団体は東京でプロジェクトのプレゼンを行い、審査員のフィードバックを受けてプロジェクトを再提出する過程を経て最終選考に進む。最終選考の5組に残った同大サッカー部は大企業の社長やリオ五輪水泳400m個人メドレー金メダリストの萩野公介さんと対談、プレゼンを行った。

同大サッカー部はサッカーを通じた社会貢献を根本に設定。走行距離、スプリント回数、歩数、心拍数などを数値化する最先端ウェアラブルセンサー『Knows』を導入して、分析データやノウハウを地域の高校、中学サッカー部などに提供するプロジェクトを立案した。同プロジェクトはノウハウを伝えた中高生が次の年代へと同様のアクションを継続することで東北地方のサッカーの活性化を目指し、少子高齢化や若者離れを防止を図るといった壮大な目標を掲げている。

コンテストでプロジェクトをプレゼンする長谷川(右)

日本一のスポーツ分析を社会に還元することを目指す同大サッカー部。

「自分たちが日本一(の分析)を定義するのに、昨年度から試合の分析などを中心に行うテクニカルスタッフを募集し始めました。
まずはデータの分析をする。それは最低限のことですけど、それだけではただの分析です。地域の整骨院さまと協力して、インボディや体組成の結果を提供して『こういうところが弱いんじゃない』とフィードバックなどを受けて、その分析とデータの相関を取ってみる。
例えば持久力と筋力の相関を取ってみたりとか、自分たちで新たな分析をしていくというところですね。プロテインの会社とも協力して、フィジカルのデータをプロの方にも見ていただくなど、日本一の(スポーツ)分析を目指そうと思いました」と長谷川はていねいに説明した。

まだ試行錯誤中ではあるが、プロジェクトは完成に向けて着実に進んでいる。ノウハウを確立できれば地域貢献以外にも同大サッカー部の競技力向上も図れるため、多くの部員から期待を持たれているようだ。

池田主将は「(最先端ウェアラブルセンサー)Knowsは個人のデータを集めることで個人の特徴をデータからつかんで練習メニューや課題を提示していきたいと思います。またデータを集めることで、後半の何分ごろから運動量が落ちる傾向にあるのかなども頭に入れて選手交代にも役立てたいです。実際のデータをもとに、パターン練習や、フィジカルメニューも組みたいと思っていて、導入できる日を心待ちにしている状況です」とテクノロジー導入の期待を話した。

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文武両道を体現する東北大サッカー部は、優れた頭脳を駆使して学生コンテストで日本一に輝いた。東北には仙台大、富士大と全国大会でも好成績を残す強豪校はいるが、徐々に差を縮めている。知恵と努力で実力を伸ばすイレブンたちは学生サッカー界の台風の目になれるか。全国大会出場に向けてチームは勢いよく突き進んでいく。

(取材・撮影 高橋アオ)

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